北朝鮮の新型駆逐艦が金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長が見守る中で横転した事故により処罰を受けた幹部の写真が国営メディアから削除されたことが確認された。駆逐艦進水事故関連の処罰レベルが北朝鮮の発表より高く広範囲であるとの分析が出ている。

米国の北朝鮮専門メディアＮＫニュースによると、朝鮮中央テレビは１３日に新型駆逐艦「姜健（カン・ゴン）」の再進水式を報道し金委員長が３月に造船所を訪れ艦船建造事業を現地指導した過去の場面を再公開した。

報道では金明植（キム・ミョンシク）海軍司令官とホン・ギルホ清津（チョンジン）造船所所長が金委員長とともに立っていたが、今回は２人の姿が消された。２人は駆逐艦進水事故関連で処罰を受けたと推定される人物だ。

ホン・ギルホ氏は今回の駆逐艦事故関連で最初に司法当局に召喚された。北朝鮮は金明植氏の処罰の事実を公開していないが前日の進水式で海軍司令官がパク・グァンソプ氏に交替させられたのが確認され、やはり駆逐艦事故の責任を問われたものと推測されている。２人は今回の再進水式にも参加しなかった。

朝鮮中央テレビは事故後に２人のイメージを意図的に削除したとみられるが、これは２人の処罰水準が相当に高かったことを示唆する。

ＮＫニュースは北朝鮮が特定幹部をメディアから削除したのは２０１３年の張成沢（チャン・ソンテク）氏処刑以降ではなかったとし、２人が指導部の職責から永久に解任されたか、懲役刑あるいは処刑のような処罰を受けたかもしれないと指摘した。

金明植氏は先月３０日の労働党中央軍事委員会会議の際に大将の軍服を着て登場したが、その会議で懲戒処分を受けたものと推測される。

北朝鮮が現在まで駆逐艦事故関連で召喚と拘束したと正式に明らかにした人物は５人にすぎないが、実際の粛清はこれよりはるかに広範囲である可能性もあるとみられる。

１３日の進水式では北朝鮮軍の最高実力者のうち１人である朴正天（パク・ジョンチョン）軍政指導部長の姿も見えなかった。朴正天氏は４月の駆逐艦「崔賢」進水式では行事の進行を務めた。

北朝鮮はホン・ギルホ氏のほかカン・ジョンチョル造船所技師長、ハン・ギョンハク船体総組立職場職場長、キム・ヨンハク行政副支配人らを拘束したと明らかにした。その後彼らがどのような処罰を受けたかについては公開されていない。