【コラム】李在明政権の「AI3大強国」目標、電力対策がなければ夢にすぎない
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.06.10 15:27
紆余曲折の末、3日に李在明(イ・ジェミョン)政権が発足した。米中技術覇権戦争の間で成長の限界にぶつかった大韓民国はもう一度飛躍できるのだろうか。隣国の日本のメディアが初めて指摘したという「ピークコリア(Peak Korea)」懸念が一時的な杞憂で終わるのだろうか。戒厳と弾劾の影響を受けた1-3月期の経済成長率はマイナス0.2%(前期比)だった。3年も満たさず終わった尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の惨めな最後の成績表だ。少数与党政局の中で続いた失政、米中対立など対内外の悪条件が重なったためだ。歴代のどの政権も科学技術公約と政策はあった。その中には産業化とIT強国の基盤を固めた公約もあった。このようにして大韓民国は1人あたりの国内総生産(GDP)3万ドル時代に駆け上がった。大統領候補の公約はもう国政課題に進化している。いつものように公約は派手だ。「公約」が「空約」に終わらず実現すれば、世界記録レベルの少子高齢化による人口急減という「定められた未来」もそれほど暗いものではない。
新政権の科学技術政策の傍点は人工知能(AI)に打たれた。AI技術の発展が「特異点」に向かっている中、国家生存のためにも当然の選択だ。李在明大統領は大統領選挙期間中、「世界を先導する経済強国をつくる」というスローガンの下、「AI3大強国」を1号公約に掲げた。このように政府発足後に最初に発表された大統領室組織に「AI未来企画首席」が新たに登場した。その下に「国家AI政策」「科学技術研究」「人口政策」「気候環境エネルギー」と4つの秘書官室が設けられた。首席が「国家最高人工知能責任者(CAIO)」となり、汎国家的AI戦略を樹立・推進していくという意図だ。民主党内では「AIツァー」という表現までが登場した。職制構造だけをみると、前政権で科学技術首席の下に「研究開発革新」「人工知能・デジタル」「先端バイオ」「気候環境」の4つの秘書官室で運営されたのと似ているが、大統領室がAIを筆頭にした科学技術政策のコントロールタワーになるというのが大きな違いだ。第20代大統領選挙当時の李在明候補の公約にあった科学技術副首相の復活が今回の第21代では言及もされない理由でもある。