【社説】公約出す前に「大統領選挙後の国」も少し考えよう=韓国
中央SUNDAY/中央日報日本語版2025.06.01 11:29
3日後に迫った韓国大統領選挙は政策論争の代わりに泥沼化した人身攻撃ばかり乱舞したため候補らの公約集も後手後手に回った。「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補は期日前投票開始3日前、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は1日前に公約集を出した。内容も具体性に劣り急ごしらえの印象があるものが少なくない。その上、新政権は政権引継ぎ委員会を挟まずに発足することになり、中途半端な公約がそのまま政策として施行されかねず、より懸念が大きい。そのため候補らは残りの選挙運動期間だけでも「大統領選挙後の韓国」を考えて公約を整え、発言にも慎重を期さなければならないだろう。しかしこれまで李在明・金文洙候補が見せた動きは正反対のケースが多く心配は並みのことではない。
まず国の存亡がかかった外交・安全保障領域で、両候補は不適切な発言により欠礼議論を自ら招いた。李候補は25日の遊説で「南米の『アなんとか(アルゼンチン)』『ブなんとか(ブラジル)』という国、かつて好調だったのにクーデターで完全に壊れた」と話した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の戒厳を批判しようとする趣旨だったが、あえて南米1~2位の大国であり韓国外交の域内拠点国を名指しで結び付ける必要があったのか疑問だ。金文洙候補は先月27日のテレビ討論で西海(黄海)中国人カジノ建設議論と関連し「外国人がたくさん観光に来て米軍が駐留することが韓国の防衛力に重要な部分を構成している。特に中国人も西海と近いため」と話した。外国の民間人、それも最大貿易相手国であり北朝鮮の核パートナーである中国の観光客を「対北朝鮮防衛力の一部」と話したのは、韓国が彼らを「トリップワイヤー」と認識しているのではないかとの議論を呼びかねない。こうした浅はかな発言をしておいて当選した場合、どのように該当国首脳らと向き合うのか心配だ。両候補はトランプ発関税戦争、朝ロ密着、米中対立のような核心懸案を解消する案は全く提示できなかった。就任と同時に押し寄せてくる荒波に対する準備の代わりに外交コストばかり増幅させる欠礼性発言をはばからないので大統領選挙後の国が心配になる。