北朝鮮は半封建社会だ。大韓帝国から日帝植民地を経てすぐに最高指導者中心の首領制社会主義に移ったからだ。国家を社会主義大家庭とし、男児を好む儒教文化がまだ支配する。１９４６年に男女平等権法を制定して７９年が経過しても、法とは関係なく女性のガラスの天井を当然視する文化がある。１０年ほど前に平壌（ピョンヤン）の食堂で経験したことがこうした文化を見せる。注文した料理が出た後、空いた食器を少し片付けようとしたところ、女性奉仕院（職員）に「男性がこのようなことをすれば外に出て大きなことができません」と言われた。封建的な社会の雰囲気はスイス留学の経験がある金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長が執権してもさほど変わっていない。ただ、彼は自身の現地指導に息子でなく娘を同伴する姿を公開的に見せているのが目を引く。金委員長は先月２５日、南浦（ナムポ）造船所で開かれた北朝鮮版イージス艦「崔賢（チェ・ヒョン）」進水式にも娘と出席した。

◆女性が占める北朝鮮のナンバー２

世の中を支配するのは男性であり、その男性を支配するのは女性といわれたりもする。男児を好む北朝鮮の文化の中でも最高指導者の隣には常に女性が位置したという点はアイロニーだ。金日成（キム・イルソン）主席（１９９４年死去）は１９７１年の公式会議の席で「金聖愛（キム・ソンエ）同志の言葉は私の言葉と同じだ」と述べた。本妻の金正淑（キム・ジョンスク）が死去して再婚した当時の金聖愛女性同盟委員長の力が強まり、後継者争いの真っ最中だった当時、金聖愛は本人が産んだ息子（平一、英一）を後押ししながら影響力を及ぼした。しかし崔賢（チェ・ヒョン）、呉振宇（オ・ジンウ）など金日成・金正淑と共に抗日武装闘争をしたパルチザンが金聖愛勢力を牽制し、金日成に対する忠誠心を「誇示」した金正日（キム・ジョンイル）が後継者となり、金日成の夫婦政治は中断した。「後継者は首領の地位と役割が同じ」という北朝鮮の後継者論に基づき、後継者の金正日が金日成の権力パートナーになったということだ。１９９７年に韓国に亡命した黄長燁（ファン・ジャンヨプ）元労働党書記は生前、「北朝鮮は（金正日が後継者になった）７４年から９４年の金日成死去まで金日成・金正日父子の共同政権だった」と回顧した。

金正日時代に入ってからは妹の役割が目立った。姉妹がいなかった父とは違い、金正日は妹の金敬姫（キム・ギョンヒ）と兄妹政治を始めた。権力から押し出された金聖愛の子どもたちが支流に分類され、ポーランドなど東欧の業務を引き受けて海外で暮らしたが、金正日・敬姫の兄妹は常に権力の中心部にいた。後継者だった金正日は労働党の政治委員と組織・宣伝書記、中央軍事委員会委員など党と軍を掌握して権力の継承に入った一方、金敬姫は党国際部副部長を経て軽工業部長となり、経済を管理して役割を分担した。金正日は直線的な性格と忙しい日程のため事前に約束がない人物に会うことを避けたという。しかし金敬姫は例外であり、そばで権力を行使する水面下の実力者だった。特に金正日が２００８年夏に脳卒中になった後、妹に対する意志は公開的に変わった。金日成主席の葬儀から１５年ぶりに金敬姫は公開活動を再開し、金正日の影の随行員になった。兄の健康と政策に直接関与する一等補佐だった。金敬姫は党の最高政策決定機構の政治局の委員になると、４つ星の大将階級章を付けて軍服姿で現れたりもした。また、政治局で決めた内容を実行する部署の責任者格である書記局の書記にも任命された。夫の張成沢（チャン・ソンテク）が反党容疑で処刑されたが、金敬姫は後継者の甥（金正恩国務委員長）の後見人の役割まで継続した。

【コラム】金日成の父子政治、金正日・金正恩の兄妹政治…キム・ジュエの役割は（２）