【コラム】トランプの降伏? 習近平の降伏?
中央SUNDAY/中央日報日本語版2025.04.20 11:54
古典経済学の基礎を確立したアダム・スミスは『国富論』(1776年)で分業が労働生産性を飛躍的に向上させると説明した。彼は18世紀にピン製造工場を観察した。ピン製造工程を針金の準備、切断から包装まで18段階に分け10人の労働者をそれぞれ違う工程に専門化させたところ1人当たり1日4800個を生産した。だが労働者1人が最初から最後まで作業する時は1日20個にとどまった。生産性に240倍の違いが生じたのだ。250年前に彼は分業による生産量増大は交換経済の活性化につながると診断した。
分業の拡散で各国の経済はますます相互依存的になった。工場内分業から国家間分業に拡大した。特定国が競争力のある商品をより多く生産することになり、これは国同士の交換、すなわち貿易が大きく膨らむ契機になった。ところが問題が生じた。政治が足を引っ張った。第1次世界大戦以降、1929年に世界経済は大恐慌に陥った。すると1930年に米国は自国の産業を保護するという名分で「スムート・ホーリー関税法」を強行した。2万種類以上の輸入品に平均59%、最高400%の関税を課した。だが本心は農産物の関税を高めて農民有権者の気持ちをつかむことにあった。結果は残酷だった。他の国が報復関税で対抗し、世界貿易はますます萎縮した。1929~1933年に米国の輸出額は60%急減した。全世界の貿易規模は25%も縮小した。恐慌はさらに悪化した。