韓国最大野党「共に民主党」が２５日、韓悳洙（ハン・ドクス）首相の再弾劾の可能性にまで言及しながら馬恩赫（マ・ウンヒョク）憲法裁判官の任命を促し、その思惑に政界の関心が集まっている。民主党は崔相穆（チェ・サンモク）権限代行当時に「憲法裁判所の決定に従うのが公職者の資格」としながら原則的なレベルで馬裁判官任命を何度か要求したが、それよりも尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の早期罷免を重視してきたからだ。

しかし民主党が宣告日として期待していた１４日と２１日がいかなる所得もなく過ぎ去り、党内外で「４月宣告」の可能性にまで言及されながら党レベルの対応の焦点も変わり始めた。朴賛大（パク・チャンデ）民主党院内代表は２５日、ソウル光化門（クァンファムン）現場院内対策会議で「韓首相が直ちに馬恩赫裁判官を任命しなければ罷免事由に該当する」とし「今日直ちに馬裁判官を任命することを強く促す」と叫んだ。

党内では民主党が馬裁判官任命要求総力戦に出ることになった理由に「タイムライン変化」を挙げる。当初、民主党は先入先出（事件の順序に基づいて決定）の原則により尹錫悦大統領弾劾審判宣告が韓悳洙首相の宣告よりも早いと予想し、「３月中旬宣告」に備えた政治日程を準備した。１２日からほぼ毎日繰り返している国会議員団の汝矣島（ヨイド）－光化門徒歩行進がこうしたタイムラインに合わせた戦術だ。

しかし２４日に韓首相に対する弾劾訴追棄却が先に決定し、民主党では尹大統領弾劾審判が長期化するという懸念が強まっている。民主党の法曹界出身議員は２５日、中央日報との電話で「文炯培（ムン・ヒョンベ）裁判官、李美善（イ・ミソン）裁判官が退任する４月１８日の直前まで宣告が遅れるかもしれない」とし「朴槿恵（パク・クネ）元大統領弾劾認容も李貞美（イ・ジョンミ）元憲法裁判官の退任３日前だった」と話した。

そのようなタイムラインの中で登場したのが「馬恩赫任命圧力」戦術だ。野党内部で「認容定足数６人を満たせず決定が遅れているのでは」という不安感が広まっただけに、いっそのこと進歩性向が明確な馬裁判官を任命するよう圧力を加えて安定的な弾劾認容を引き出そうということだ。民主党の関係者は「速くて不安な道より、遅くても確実な道がよいという声が出ている」と話した。

馬裁判官が今月中に合流すれば、弁論が再開されても文炯培裁判官と李美善裁判官の退任前に宣告が下されるという計算もある。法曹界出身の議員は「（４月１８日をマジノ線とみる場合）馬裁判官の合流は弾劾認容に無条件によい」とし「２７日に定期宣告が終われば、憲法裁は３週間ほど尹大統領事件に集中でき、時間も十分にある」と話した。別の議員も「馬裁判官が任命されて裁判に合流させるには、これまでの裁判記録を再演する弁論更新手続きを踏むのに一定の時間がかかる」としながらも「今回の弾劾審理は他の刑事事件に比べて証人数も少なく、弁論回数も少ないため、更新手続きは長くても１週間なら十分だ」と主張した。