欧州各国が米トランプ政権の予算削減と研究プログラム縮小などに不安を感じた米国の研究機関所属研究員を積極的に迎え入れているとフィナンシャル・タイムズが１８日に報道した。

同紙によると、欧州内の複数の研究者と研究機関高位関係者らは米国内の研究機関に所属する多様な職級の研究員から転職の意志を伝えられた。

米国の科学界はトランプ政権発足後に連邦補助金凍結、連邦機関全般の大々的な構造調整、生命・保健研究費削減、多様性・公平性・包括性（ＤＥＩ）政策禁止などの影響で苦境に陥っている。

米国の主要科学者と研究管理者は、トランプ政権の政策の透明性が不足し法的問題を抱えており、今後どのような影響を及ぼすのか不確実性が大きいと指摘する。

特に博士号を取得しようとする若い研究者を含めた科学者は今後研究費の支援を受けられるのかすら確信できない状況だ。

これにより米国を離れようとする研究員が増加し欧州の研究機関は予想できない人材招聘機会を迎えた。

フランスのバティスト高等教育・研究担当相は主要研究機関に書簡を送り、米国にいる科学・技術人材誘致に向けた優先分野を提案するよう要請した。

バティスト担当相は書簡で「すでに多くの著名な研究者が米国での未来に疑問を持っている。われわれは当然そのうちの一定数を喜んで受け入れたい」と明らかにした。

フランスのエクス・マルセイユ大学は気候変動研究予算削減で影響を受ける米国内の科学者向けのプログラムを発表した。

英ケンブリッジ大学のデボラ・プレンティス副総長は研究機関が望む人材を迎え入れるための資金支援が可能だとし、「確実に組織化が始まった」と話した。

プレンティス副総長は英国の主要科学研究機関が「人材の潜在的な大西洋横断移動をレーダーに捕捉している」と付け加えた。

米科学振興協会（ＡＡＡＳ）のジョアン・カーニー公報責任者は中国とフランスをはじめとする複数の国が米国の研究員を自国の大学と研究所、産業界に連れてくるため積極的に動いているとし、「他の国も今回の機会を自分たちに有利に活用できる点を認識している」と話した。

欧州研究評議会（ＥＲＣ）のマリア・レプチン会長は、米国の政治的環境が「独立的な研究者中心の研究」を萎縮させているとし、「われわれが米国の仲間にできることは、独立的な科学研究が脅威を受けるなら欧州の研究共同体とその資金支援者が国籍と関係なく歓迎する点」と強調した。