尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領は釈放から４日目を迎えた１１日まで、健康診断のための外出（９日）を除いては漢南洞（ハンナムドン）の官邸に留まった。韓国政界では尹大統領が９日夕方に与党「国民の力」の権寧世（クォン・ヨンセ）非常対策委員長と権性東（クォン・ソンドン）院内代表と面会し、同日大統領室参謀１５人と大規模な昼食を取るなど本格的な「官邸政治」に出たという話が出ていた。

これについて、大統領室関係者は中央日報の電話取材に対して「拘置所から復帰した後、感謝の挨拶を伝える席にすぎない」としながら拡大解釈を警戒した。尹大統領との昼食に出席した複数の大統領室関係者も「気になることもあったはずだが、尹大統領は政策懸案に関連しては何の質問もしなかった」と伝えた。

最近尹大統領と会った弁護団や一部参謀などによると、尹大統領も周辺に「弾劾審判宣告を待つ立場でどうして外部活動を行うことができるだろうか。静かに過ごす考え」としながら、今後の歩みを自制するとの意思を明らかにしたという。尹大統領が復帰した後、大統領室が伝えた「謙虚で落ち着いて憲法裁判所の宣告を待つ」という立場文も、尹大統領の意向をそのまま反映したものだというのが尹大統領側の人々の説明だ。与党圏の核心関係者は１０日に外部の人々が官邸を訪れたことに関連しては「尹大統領が弁護団と簡単な昼食を取ったものと承知している」と話した。

大統領室が尹大統領の「官邸政治」論争に関して積極的な反論に出たのは、憲法裁判所の弾劾審判宣告を控えて憲法裁判所を刺激したり野党に口実を与えたりすべきではないという判断が根底にあるようだ。野党では尹大統領が与党要人と通話した事実に言及して証拠隠滅の懸念など尹大統領の再拘束の必要性を主張している。

鄭鎭碩（チョン・ジンソク）大統領秘書室長も最近首席級参謀陣はもちろん、実務陣の行政官にも「一歩間違えれば誤解が生じるような行動や話はするな。落ち着いて対応しなければならない」と呼びかけた。国民の力の初当選議員は「今は野党の国政麻痺（まひ）と連続弾劾を浮き彫りにすべき時点」と話した。

一方、崔相穆（チェ・サンモク）大統領権限代行は１１日、国務会議に「ミョン・テギュン特検法」を上程しなかった。韓悳洙（ハン・ドクス）首相が復帰する可能性があることから、法廷期間（１５日）まで最大限苦心する方針だ。

崔代行は政府が抜けた与野党国政協議会について「トランプ発『米国第一主義』の矢が我が国に照準を定めている。民生経済を生かすためには追加財政投入など格別の突破口が切実だ」とし「政府を排除して国政協議会を稼動するのを遺憾に考える」と明らかにした。