中国の人工知能（ＡＩ）スタートアップ「ディープシーク（ＤｅｅｐＳｅｅｋ）」が浮上して以降、米中間で高級ＡＩ人材を誘致するための争奪戦がさらに激しくなる見通しだ。今後の米中ＡＩ人材戦争の勝敗は「人材開発のための制度的条件と革新環境の戦闘にかかっている」と、香港サウスチャイナモーニングポスト（ＳＣＭＰ）が１１日報じた。

同紙は、トランプ米大統領が就任直後に「スターゲート」と命名したＡＩ政策を展開し、中国が深刻な人材・企業流出危機に直面するおそれがある、と警告した。米国のＡＩ「ニューディール（新しい政策）」は中国より多くのグローバル資本と技術・産業資源を誘致することができると伝えながらだ。

中国華南理工大公共政策研究院（ＩＰＰ）の戴明ジェ研究員は「この１０年間、中国の世界トップレベルのＡＩ人材２８００人のうち約７５％が中国国外で働いている」とし「約２０００人のＡＩ人材が中国を離れ、うち１７００人（離脱人材の８５％）が米国に向かった」と指摘した。

ＩＰＰが２日に公開した政策建議書に共同著者として参加した戴研究員は「トランプ『ニューディール』の理念は内部的に革新インセンティブを強化し、外部的には封鎖と抑制を強化すること」とし「中国がさらに開放的な革新環境を作ることができなければ、中国が育てたユニコーンと優秀な企業が米国の発展を助けることになり、中国と米国の（ＡＩ）格差がさらに広がるおそれがある」と警告した。

実際、中国は世界トップレベルのＡＩ研究者の中で最も大きな比率を占めるが、深刻な人材流出に直面している。米国の中国専門シンクタンク「マルコポーロ」が昨年末に発表した研究によると、米国でＡＩを専攻した大学院生のうち６．７４％だけが中国に復帰し、８０．１５％は米国に残留していることが明らかになった。

米国ＡＩ専攻大学院への進学は中国の学部生が３９．５２％、米国の学部生が３７．６３％だ。学位を終えた後、絶対多数が米国のＡＩ発展に貢献しているということだ。

ただ、この数年間は米国で先端科学および工学分野に従事した中国出身の科学者が帰国するケースが増えていると、ＳＣＭＰは指摘した。米国の移民政策と国家安保審査が厳格になっているからだ。米イェール大デジタル倫理センターのエミー・ハイン研究員は「北京は教育プログラムに投資を増やして国内の人材を育成する半面、ワシントンは人材流入の規制を強化し、米国が二重の打撃を受ける可能性が高い」と診断した。

特にディープシークを創業した梁文鋒氏は昨年のインタビューで「５０代の専門家は中国にいないかもしれないが、我々が直接そのような人材を養成することも可能になるだろう」と話した。

これに対し、米国がＡＩ人材のビザ政策を緩和する場合、中国はＡＩ人材の流出を防ぐのが難しいという指摘がある。豪シドニー工科大豪中関係研究所のマリナ・チャン教授は「半導体チップ輸出統制が効果を発揮し、米国がＡＩ人材にビザを制限するのでなく推奨することにすれば、米国はＡＩ人材枯渇から抜け出すことができるだろう」と述べた。

中国ＩＰＰは建議書で「米国は市場主導規制システム、中国は国家主導規制システム、欧州連合は権利主導規制システム」とし「中国当局は『ネット版万里の長城』を緩和してオープンソースコミュニティを奨励するなど新しい規則を積極的に模索する必要がある」と従来のＡＩ政策の変化を促した。