【中央時評】破局的葛藤に対する恐れ=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.01.07 14:42
政治をしてはいけない経歴(検察総長)を持つ人に政治を支配する野心を抱かせたことから間違いだった。彼は歴代大統領のうち最多得票(1640万票)で大統領になった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の得票数(1340万票)よりはるかに多かった。その時の民心は尹錫悦(ユン・ソクヨル)にあった。いま考えると当惑する。当時の彼の突然の成功が今、彼の没落で終わろうとしている。
尹錫悦の成功以前には「長い政治の失踪」があった。与野党が責任を持って民主主義を運営していれば、政治の経験が一度もない強権的国家機構の首長を大統領にすることはなかっただろう。政治とは何か。イタリアの政治学者ジョバンニ・サルトーリによると、「敵対する葛藤を共存可能な異見に転換すること」が政治だ。葛藤が異見になってこそ、討論し、調整し、交渉する方法で社会を分裂でなく統合に導くことができるからだ。英国の政治学者バーナード・クリックの政治擁護論はさらに興味深い。彼は政治を「憎悪のない戦い」と定義する。どの社会でも「互いに正しいと信じる信条が異なるにもかかわらず共同の変化を作る特別な実力」を必要とするが、そのような実力の発揮は憎悪の方法で成り立たないからだ。