【コラム】憲法破壊と割れた窓ガラス=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.12.09 15:20
非可逆的(Irreversible)という用語は一度発生すれば元に戻らない現象を意味する。自然科学で使う時は変化の方向性を内包する。木を燃やせば二酸化炭素と灰になるが、これで紙をまた作ることはできない。冷水と熱湯を混ぜればぬるくなるが、自らまた分離しない。この言葉は時々、社会的にも使われるが、方向よりも元に戻らないという結果が強調される。韓米が北朝鮮の核廃棄原則として明らかにしたCVID原則のうち「I」は元に戻すことはできない(Irreversible)という意味だ。国内では非可逆でなく不可逆と翻訳された。朴槿恵(パク・クネ)政権当時に締結した韓日間の慰安婦合意も「不可逆的」と釘を打った。
「1979年末から進行された戒厳状況が2024年にまた展開されるのを見て衝撃を受けた」。6日(現地時間)、作家の韓江(ハン・ガン)氏がノーベル賞受賞のために訪問したスウェーデンのストックホルムで開かれた最初の記者会見で述べた言葉だ。代表作『少年が来る』で叙述した状況が先週韓国で発動された非常戒厳と重なり、世界の大きな関心を集めた。韓江氏だけではない。我々すべての国民が「ハナ会」解体以降の民主主義確立の努力のため、クーデターは発生しない不可逆的な段階に入ったという自負心を持っていた。ところが一瞬にして崩れてしまった。銃を持った軍人が国会に乱入し、主要人物に対する逮捕組が闊歩し、選管委が急襲された。北朝鮮が汚物風船を飛ばせば原点を打撃しろという前国防部長官の指示があったという暴露も出てきた。事実なら戒厳のアリバイのために局地戦も辞さないという意志ではないのか。お粗末な準備と一部の軍人の抗命、国会の迅速な対処で戒厳の試みは150分で失敗に終わった。しかし成功していれば半世紀前の状況のように我々は常時検閲と逮捕、拘禁と拷問の脅威に苦しむことになっていたという考えにぞっとする。