人間の欲望・暴力性を執拗に探求…『少年が来る』では光州事件を正面から扱う[韓江ノーベル文学賞]
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.10.11 16:24
韓江(ハン・ガン)氏が30年以上にわたって一貫して扱ってきたテーマは人間の暴力性とそれに伴う悲劇だ。韓江氏が「暴力」を深く掘り下げることになった契機は1980年に起きた光州(クァンジュ)民主化運動。1970年光州出身の韓江氏は10歳のときに父親から渡された写真を通じてその日の惨状を見て、後日「その写真集は私が人間に対する根源的な問いを投じる密かな契機となった」と、あるインタビューで回顧した。残酷な死体、その横に銃傷者のために献血しようと終わりのない列に並んだ人々を見て「人間の中に残酷な暴力と利他心のどちらもあるということを両立できない宿題のように感じられた」という。
韓江氏の小説は初期から重厚なテーマを扱っていた。初めての小説集『麗水の愛』では人間のトラウマを探求する韓江氏の文学世界を世の中に示してみせた。最初の長編『黒い鹿』は真昼の都心を裸で走り、記憶をなくした女性の姿を、2冊目の長編『あなたの冷たい手』は石膏で人体の型を取るライフキャスティング作業を通じて人間の内面を暴いた。