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【グローバルアイ】米大統領選挙を揺さぶる「嘘」の政治学

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2024.09.13 11:51
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「ウォーターゲート」事件で弾劾されたリチャード・ニクソン元米国大統領が結局退いた理由は、不法盗聴ではなく捜査過程で明らかになった嘘のためだった。ニクソン元大統領に次いで2番目に弾劾対象になったビル・クリントン元大統領も同様だった。セックススキャンダルではなく、調査の過程で明らかになった嘘が理由となった。米国の最高権力者に対して嘘がどのように致命傷を与えるかをよく示す事例だ。

選挙戦で相手候補の権威と信頼を崩し、自分に不利な問題は論点をぼかして避けていく代表的な技術が「嘘つき」の烙印を押すことだ。「世紀の対決」と呼ばれた10日のカマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領によるテレビ討論。目を引いたのは、両候補が約束でもしたかのように、互いに嘘つきだと追い込む場面だった。

 
熱い話題の中絶問題が火をつけた。トランプ氏はまず、「ハリス氏が選んだ副大統領候補は、妊娠9カ月の中絶も構わないし、出生後の死(execution after birth)も問題ないと言っている」と主張した。ハリス氏は「最初から申し上げたように、今日はたくさん嘘が出てくるだろう」と対抗し、「トランプが再選すれば全国的な中絶禁止法に署名するだろう」と反撃した。トランプ氏も「完全に嘘」と答えた。

トランプ氏は政府機関に対しても「嘘」攻撃を浴びせた。移民急増の深刻性に言及し、「彼らは住民の犬や猫を食べる」と主張したが、司会が「FBIは犯罪が減少していると言っている」と指摘すると「FBIの詐欺」と言った。具体的な根拠は示さなかった。

現実主義の国際政治学者としてよく知られているシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は著書『なぜリーダーはウソをつくのか』で、為政者が「恐怖助長」や「戦略的隠蔽」のようなタイプの嘘をついてばれたら、取り返しのつかない失敗を迎える危険が大きいと警告している。大統領選のテレビ討論は、候補の資質や品性、能力を検証する舞台だ。米国民6700万人あまりが視聴したテレビ討論で、明確な論拠なしに自分に不利な話を嘘と決めつけたり事実関係を歪曲する虚偽の主張を並べ立てるのなら、責任ある国家指導者の姿ではない。

ニューヨークタイムズ(NYT)をはじめとする権威あるメディアがテレビ討論で発言を一つ一つファクトチェックするのはそのためだ。NYTがトランプ氏の発言33件をファクトチェックした結果、16件が「嘘」と判断された。ハリス氏は調査対象の発言8件中2件が「嘘」と判定された。このようなファクトチェックの結果と11月5日の大統領選挙の間にどのような相関関係があるのか、非常に気になるところだ。

キム・ヒョング/ワシントン総局長

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    2024.09.13 11:51
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    ハリス氏(左)とトランプ氏(右)
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