大韓サッカー協会がサッカー韓国代表チームの新指令塔として蔚山（ウルサン）ＨＤの洪明甫（ホン・ミョンボ）監督を選任した理由として、試合哲学、リーダーシップなど８項目を挙げて適任者であることを強調した。

サッカー協会のイ・イムセン技術総括理事は８日にソウルのサッカー会館で開かれた会見で、選手団掌握能力など洪監督の長所と現在の協会が置かれた状況などを合わせて８つの選任理由を説明した。イ理事が言及した項目は、ビルドアップなど戦術的側面、ワンチームを作るリーダーシップ、年齢別代表チームと連続性、監督としての成果、現在の切迫する代表チームの日程、代表チームでの指導経験、外国指導者の哲学を負わせる時間的余裕の不足、外国指導者の国内滞在問題――だ。

２月にクリンスマン前監督が更迭されて５カ月間正式な指令塔のいないまま３月と６月の２回にわたりＡマッチを行った韓国サッカーは、７日に洪監督を新指令塔に内定しこの日サッカー協会のソーシャルメディア（ＳＮＳ）を通じて選任を正式に発表した。イ理事が丁重に説得した末に頑強だった拒絶の意思を覆した洪監督は、２０２７年１月にサウジアラビアで開かれるアジアカップまで２年６カ月間の任期を受け持つ。

欧州出張を終えて帰国した５日夜１１時に洪監督の自宅前で会って説得したというイ理事は、「私に会ってくれるか悩み、不安があった。なぜ韓国サッカーのために献身すべきなのか申し上げた」と説明した。その上で、洪監督を選任するまで何の外圧もなかったと繰り返し強調した。彼は「最後の決定も（鄭夢奎）会長に報告しなかった。最終候補者名簿を受け取り会長に報告したところ『いまからすべての決定をすべて（１人で）やってください』と言われた」と明らかにした。

イ理事は２０２６北中米ワールドカップ後も任期を保障する契約条件をめぐっては、「短期間の結果で評価するよりＡ代表チームと年齢別代表チームの関連性を確保するために十分な時間を差し上げたい」と説明した。戦術的な部分を補完するために欧州出身コーチ２人を置くという条件を洪監督も受け入れた。これで洪監督は２０２０年１２月から指導してきた蔚山を離れることになった。イ理事は「蔚山の希望通りに協議するが、蔚山を継続して引っ張っていくのは難しそうだ。シーズン中に難しい決定を下した蔚山に心から感謝する。Ｋリーグと蔚山のファンにはシーズン中にクラブを離れさせて申し訳ない」と話した。

イ・イムセン理事は蔚山で洪監督が見せたビルドアップと圧迫戦術が代表チームにも適用できると判断したと明らかにした。また「ワンチーム精神」を作るのに卓越した指導者だと表現し、年齢別代表チームとの連続性が重要で韓国人指導者を選任したと説明した。蔚山は国家代表出身のスター選手らをそろえているが、洪監督特有のカリスマのおかげで雑音はない。

一方、外国人指導者と比較して洪監督の成果は劣っていないと話した。合わせて洪監督が２０１４年のワールドカップ・ブラジル大会で指導者として失敗した経験も韓国サッカーが十分に活用できる資源だと評価した。世界サッカーの流れを知る外国人指導者を望むファンたちの熱望を認知したサッカー協会は１００人前後の外国人候補を検討したが適任者を、見つけられなかった。

イ理事は先週デイビッド・ワグナー、グスタボ・ポジェら外国人監督と面談するため欧州に出張したが、洪監督ほどの適任者はいないと判断した。イ理事は「９月から２０２６北中米ワールドカップ３次予選が始まる時点で外国人指導者が韓国代表選手を把握する時間が不足すると考えた。彼らの哲学を負わせるにも時間が不足するとみた」と明らかにした。続けて「以前に起きた在宅勤務議論が再現されるリスクを無視することもできなかった」と説明した。