米国が特定の中国バイオ企業と自国企業の取引を制限する法案が米上院常任委に続いて下院常任委も通過した。バイデン米政権が中国産電気自動車に１００％関税賦課を決めたのに続き、米議会も対中攻勢を強めている。

米下院の監視・説明責任委員会は１５日（現地時間）、こうした内容の「バイオ保安法」を議決した。今後、この法案は上院と下院の全体会議を通過して米大統領の署名を受ければ施行される。法案は「懸念企業」と米連邦機関の契約を禁止している。また、これら懸念企業の装備やサービスを使用する企業と連邦機関との取引も禁止する内容を盛り込んだ。

法案は「懸念バイオ企業」に中国の北京ゲノム研究所（ＢＧＩ）、ウーシー・アプテック、ＭＧＩなどを明示した。米政府、米政府から補助金を受ける民間企業、研究機関などはこれら中国企業と取引をしてはならないということだ。

法が施行されれば該当企業・機関は２０３２年までに中国の懸念企業と取引を中断しなければならない。米業界はバイオ企業が委託生産会社など製造パートナーを変更するのに最大８年がかかると分析している。ロイター通信はこの法案について「米製薬会社の中国依存度を減らす圧力になるはず」と評価した。

この法は米上下院が１月に共同発議した。米議会は中国企業が米国人の健康・遺伝情報を収集した後、これを中国政府に伝える可能性を懸念している。ジェームズ・コマー米下院監視委員長は「この法案は米国の敏感な医療データを中国共産党から保護するために必要な措置」と明らかにした。

下院常任委が法案を処理した後、ジョン・ムーレナー下院米中戦略競争委員会委員長らは声明で「米国は中国共産党が我々の遺伝子データを盗んで生命工学サプライチェーンを統制しようとする試みを黙過しない」とし「我々はこの法案をできるだけ早期に処理するために下院指導部との協力を期待する」と述べた。

米中戦略競争委は北京ゲノム研究所が全世界の数百万人のＤＮＡを収集して中国軍が遂行するプロジェクトに使用したとみている。またウーシー・アプテックは中国軍と遺伝子収集サイトを共同で運営するというのが米中戦略競争委の判断だ。

米バイオ企業の対中国依存度は高い方だ。最近、米バイオ協会が会員企業を対象に調査した結果、回答企業１２４社のうち７９％が「中国に基盤がある」または「中国所有製造会社１社以上の契約を結んでいる」ことが明らかになった。

このため一部では米バイオ企業のサプライチェーン転換が順調に進まない場合、米国内医薬品需給に支障が生じるという懸念が出ている。同時に韓国バイオ企業が中国の代替企業に浮上し、中長期的に反射利益を得るという見方もある。