「家電の本場」と呼ばれる欧州で韓国家電が存在感を高めている。欧州は世界の家電市場で最も保守的な地域に選ばれるが、現地人の好みに合わせた製品戦略で韓国企業が地位を固めたと分析される。

ＬＧエレクトロニクスの昨年の欧州売り上げは１２兆１２９３億ウォンで過去最大だ。洗濯機や冷蔵庫など生活家電とテレビがよく売れた。有機ＥＬテレビの昨年の欧州でのシェアは出荷台数基準で５２．３％だ。欧州で売れた有機ＥＬテレビのうち２台に１台はＬＧエレクトロニクスの製品ということだ。

サムスン電子の欧州売り上げも増加している。サムスン電子によると昨年「ビスポークＡＩ乾燥器」の欧州売り上げは前年の３倍水準に増加した。欧州の主要市場であるイタリアでは昨年、家電市場でシェア１位となった。イタリアの消費者ブランド認知度１位も守っている。

韓国家電メーカーが欧州市場で善戦しているのは隙間をねらったローカライズ戦略が功を奏したという分析が出ている。欧州は再建築に厳格でほとんどの家が古くて狭い。このためこれまでは空間を大きく占めない製品が好まれた。例えば上段に冷蔵庫、下段に冷凍庫があり、ドアがひとつずつついた上下式冷蔵庫が主力製品だ。イタリアの家電量販店メディアワールドのチェルトサ店を訪れたところ、上下式冷蔵庫が大部分だった。

コロナ禍で外出に制限ができ食材を十分に保管しようとする傾向が出てくると韓国企業が隙間に食い込んだ。サムスン電子は一般家庭の天井が高い点を考慮して高さを２メートルまで高めた冷蔵庫を出した。冷蔵庫幅をこれまでの６０センチメートルから７５センチメートルに広げた両開き型冷蔵庫も出した。

省エネ型製品も実績に結びついた。ウクライナ情勢の余波で欧州のエネルギー需給市場不安が続き電気料金が高騰すると、省エネルギー機能に対する関心が大きくなった。韓国企業は欧州のエネルギー規格よりエネルギー効率が良い製品を出した。欧州のエネルギー規格はＡからＧまで７等級に分かれる。Ａが最も高い等級で、これまで欧州のほとんどの家電がＥやＦ等級だった。

サムスン電子は最高等級であるＡよりエネルギー効率が１５％良い節電型製品を出した。３日に公開したワイドＢＭＦ冷蔵庫は従来モデルより電力使用量を５５．９％低くした。ＬＧエレクトロニクスもＡ等級より電力使用量が４０％少ない洗濯機を初めて出した。

サムスン電子イタリア法人のソク・ヘミ氏は「Ａ等級よりエネルギー効率が良いＡマイナス等級というマーケティング戦略が受け入れられた。エネルギー規格が１級上がるたびに２００ユーロほど製品価格が高くなるが、電気料金が１年間に５倍ずつ急騰し高くても省エネ型製品を買うのがむしろ得という認識が広がった」と説明した。

使っていた製品を相続する保守性は人工知能（ＡＩ）で攻略している。欧州は結婚などで家電を用意する際に祖母や母親に助言を求める雰囲気が形成された。ミレー、ボッシュ、シーメンスのような伝統的な家電の位置付けが堅固な理由だ。韓国企業はＡＩを基盤とした機器連結性を前面に出し若い層の攻略に出た。サムスン電子の「スマートシングス」は家庭内にあるサムスン電子製品を連結する。

例えば「エニープレイスインダクション」の７インチのスクリーンはＡＩホームの役割をする。スマートシングスで連結された洗濯機や冷蔵庫などの製品をインダクションで料理しながら制御できる。ＬＧエレクトロニクスも製品間連結プラットフォーム「ＬＧシンキュー」を活用して生活便宜性を強調した製品を出している。

サムスン電子ノチョン・ジギュＤＡ事業部常務は「欧州のビルトイン家電市場でＡＩ基盤の便宜性とエネルギー効率に対する消費者の関心度がとても高い。ＡＩ基盤のスマートな連結経験とエネルギー高効率製品を基に欧州市場を積極的に攻略している」と話した。