欧州委員会が４日（現地時間）、アップル（Ａｐｐｌｅ）に対して音楽ストリーミングアプリサービスに関連して反独占法に違反したという理由で１８億４０００万ユーロ（約３０００億円）相当の制裁金を科した。いわゆるビッグテックの市場支配力の乱用防止を狙ったデジタル市場法（ＤＭＡ）の効力が７日から発生するが、それに先立ってアップルを見せしめにしたという解釈も出ている。

マルグレーテ・ベステアー上級副委員長はこの日午後、ベルギー・ブリュッセルで記者会見を開き、「アップルが音楽ストリーミングアプリの流通に関連して市場支配的地位を乱用した」と明らかにした。欧州委の調査の結果、アップルは外部音楽ストリーミングアプリ開発者がｉＰｈｏｎｅ、ｉＰａｄ運営体制であるｉＯＳ利用者にアップストア（Ａｐｐ　Ａｔｏｒｅ）を利用しなくてももっと安いサブスクリプションサービスを利用することができるという事実を知られないように制限するなど「不公正慣行」を繰り返していたと指摘した。

ＥＵがこの日科した制裁金は当初市場が予測していた５億ユーロの３倍を超える「爆弾」水準だ。実際にＥＵは制裁金の規模がアップルの世界売上の０．５％に該当すると説明した。

アップルがＥＵに反独占法違反で制裁金を科されたのは今回が初めてだ。ＥＵの今回の措置がＤＭＡ導入にあたって他のビックテック企業に対する見せしめだという解釈もある。

ＤＭＡは市場支配力の乱用を防止するためにビッグテック企業を特別規制する法律を指す。ビッグテック企業が欧州で自社サービスに不公正な特典を与えて競争会社の利益を侵害する場合、年間総売上の１０％に達する罰金を科すという内容などを含んでいる。

ＤＭＡ違反時、ＥＵは該当企業の年間世界売上高の最大１０％を制裁金として科すことができる。違反が繰り返される場合、最大２０％に上方修正される。「組織的な違反行為」が確認されれば事業部の一部売却命令も下すことができる。フィナンシャル・タイムズ（ＦＴ）など外信は、アップルに対する今回の制裁金を皮切りに、ＥＵと米国ビッグテック間の葛藤がより一層深まるだろうと展望している。

ＦＴは「ビッグテックは競争を開放して小さな技術企業が成功できるようにする画期的かつ新たなルールを示さなければならない状況」としながら「アップルに対するＥＵの措置はＥＵと巨大企業間の戦争を呼び起こすだろう」と分析した。この日の決定はスウェーデンの音楽ストリーミングアプリ「スポティファイ（Ｓｐｏｔｉｆｙ）」が２０１９年、アップルが自社サービスでのアップルミュージック（ＡｐｐｌｅＭｕｓｉｃ）と公正に競争することができなくしているという理由で問題を提起したのに伴う後続措置だ。

スポティファイはアップルが自社のアップストアを通した決済を強要し、最大３０％に達する手数料を課しているため、仕方なくサブスクリプション料金引き上げるほかなかったと訴えた。スポティファイユーザーが出さなければならない料金の負担が大きいため、アップルの自社音楽ストリーミングサービスのアップルミュージックと公正な競争が難しいというのがスポティファイ側の立場だ。欧州委はこのようなスポティファイの主張を相当部分を認めたといえる。

アップルは欧州委の決定に異議を提起すると明らかにした。アップルは２０２０年、フランスで反独占法違反で１１億ユーロの制裁金を科されたが控訴し、３億７２００万ユーロまで低くしたことがある。