イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスが戦闘を中断して２９日まで６日間にわたり人質と収監者の解放を継続する中、双方の軍人捕虜問題が戦争再開後を判断する要素のひとつに浮上している。

米ＣＮＮとイスラエル日刊ハアレツなどによると、この日ハマスはイスラエル側に追加解放対象人質６人のリストを通知した。これを含めハマスから最大１０人の人質リストを最終通知すれば、イスラエルは２４時間の休戦延長とともに自国内の刑務所に収監中の３０人のパレスチナ人を釈放すると予想される。

前日の２８日にはイスラエル人１０人とタイ人２人の１２人を解放した。パレスチナ人収監者３０人も釈放された。ハマスは合意に基づきイスラエルとパレスチナの解放の比率を「１対３」で維持している。

これに先立ち米ホワイトハウスは「米国人最小３人が近く解放されるだろう」と明らかにしたが、２８日のリストには含まれていない。これと関連して米国家安全保障会議（ＮＳＣ）のカービー戦略広報調整官は「あすさらに多くの米国人が解放されるのを確実に見られることを望み、米国は中断期間を延長することに賛成する」と明らかにした。

カービー調整官はまた「休戦以降イスラエルがガザ地区南部で作戦をする時、どのような形態であれ無実の人命被害に対し負担が増した」ともした。今回の休戦を基点にイスラエルの強硬姿勢が緩和される可能性があることを示唆した。

当初イスラエルとハマスは２４日から２８日まで４日間の一時休戦に合意したが、人質解放により３０日まで休戦期間を延長した。

これと関連してアラブメディアのザ・ニュー・アラブはエジプト政府関係者の話として「イスラエルとハマスが来月２日まで休戦を延長する予備合意に至った」と報道した。同メディアは、ハマスが公式に明らかにしてはいないがカタールのドーハで開かれた人質解放・休戦交渉で「完全な休戦」を要求したと同メディアは付け加えた。

これに対しイスラエルは「休戦は２４日から最大１０日間であり、それ以上はない」という立場を明らかにしたとのイスラエルメディアの報道も出ている。

イスラエルとハマスの人質解放交渉は現在ドーハで行われている。交渉にはイスラエル情報機関モサドのバルネア長官と米中央情報局（ＣＩＡ）のバーンズ長官が参加する中、エジプト情報機関のキャメル長官が合流した。

イスラエルメディアによると、非公開交渉でイスラエルは「成人男性と軍人を含むすべての人質の解放」にウエイトを置いている。先月７日のハマスの奇襲攻撃の際に連れ去られた人質は約２４０人で、ハマスは２４日の休戦後イスラエル国籍の女性と子ども、外国人など８０人以上を解放した。これに先立ち先月２０日に解放された米国籍の母娘２人、イスラエル女性２人を加えれば数字はもっと増える。

米公営ラジオＮＰＲは「残る１６０人のうち少なくとも１００人は民間人、６０人ほどが軍人と推定される。この軍人の解放は民間人よりはるかに長くかかるだろう」と予想する。ハマスもやはりイスラエルの刑務所の収監者のうち幹部クラスの解放を要求しているだけに、今回の人質交渉の「最後のパズル」は双方の軍人交換がカギになると分析される。この交渉で実益がないと判断すれば、イスラエルが「戦争再開」を宣言する恐れもある。

ハマスはこれに先立ち２００６年にイスラエル兵士１人を拉致し５年にわたり解放交渉を引き延ばした。２０１１年にパレスチナ人収監者１０００人の解放を引き出した前例がある。イスラエル軍はハマスが先月の奇襲の際に射殺したイスラエル兵３人の遺体もガザ地区から持ち去り返還していないと明らかにした。彼らの遺体引き渡しもパレスチナ人収監者と「対等交換」対象になる可能性がある。

イスラエルの刑務所に収監されたパレスチナ人収監者は約８０００人と推定される。このうち未成年者と女性は少なくない。イスラエルが休戦期間に解放したパレスチナ人収監者１８０人は少年が１１６人、成人女性が３１人、少女が３人の順だ。

ＡＰ通信は「彼らはイスラエル軍に石と火炎瓶を投げた容疑で起訴された青少年。何人かの女性は致命的な攻撃を試みた容疑によりイスラエル軍事裁判所で有罪判決を受けた」と伝えた。

◇国連「ガザ地区の人口の８割が被災者」

国連は「イスラエルの地上戦以降ガザ地区の人口の８０％に達する１８０万人のパレスチナ人被災者が発生し、彼らはほとんどが南部に移動した」と明らかにした。休戦期間に食料と水、医薬品、燃料などを積んだトラックが１日１６０～２００台ずつガザ地区に入っているが、国際救護団体は「需要の半分にも満たない」と指摘している。パレスチナ難民機関の報道官は「被災者が避難所を探し暖かい服とマットレス、毛布を探しており、一部は故障した車で寝ている」と話した。