空売り全面禁止の効果がしっかり現れた。禁止初日の６日、韓国総合株価指数（ＫＯＳＰＩ）が過去最大となる１３４．０３ポイントの上昇幅を記録し一気に２５００ポイント台に上がった。特に年初から個人投資家の買い傾向が集中した二次電池関連銘柄が大挙ストップ高を記録し株価上昇を牽引した。だが効果が長続きするのかに対する懸念も出ている。企業業績などの変化はなく株価が急騰しただけに、今後変動性が大きくなると分析される。

この日ＫＯＳＰＩは前営業日より１３４．０３ポイント（５．６６％）上がった２５０２．３７で取引を終えた。１日の上昇幅としては過去最高を記録し、１日で指数は２３００ポイント台から２５００ポイントに垂直上昇した。

ＫＯＳＤＡＱ市場の熱気はもっと高かった。ＫＯＳＤＡＱ指数も前営業日より５７．４ポイント（７．３４％）上がった８３９．４５で取引を終えた。ＫＯＳＤＡＱの上昇幅は２００１年１月２２日の６１．１ポイント以降で最も大きかった。ＫＯＳＤＡＱ市場では午前９時５７分にサイドカーが発動された。２０２０年６月１６日以来となる。サイドカーは先物市場が急変する時に現物市場に与える影響を軽減するために５分間プログラム売買の効力を停止する制度だ。

この日の株価急騰は金融当局の空売り全面中断措置が影響を与えた。株価急騰を牽引した銘柄はＫＯＳＰＩとＫＯＳＤＡＱで空売り残高が大きかった二次電池関連銘柄だ。ＫＯＳＰＩではＬＧエナジーソリューションが２２．７６％、ポスコホールディングスが１９．１８％、ポスコフューチャーＭが２９．９３％など、株価上昇幅が大きかった。ＫＯＳＤＡＱではエコプロが２９．９８％、エコプロＢＭが３０．０％とともにストップ高を記録した。二次電池銘柄の株価が急騰したのはショートスクイーズが主な要因だ。ショートスクイーズは株価下落を予想して株式を借りて売った空売り投資家が株価上昇の時に損失を減らそうと売った株式を再び買い入れるショートカバーの際に株価が急騰することを意味する。

この日ストップ高を記録したエコプロの場合、１日基準で空売り残高が１兆９０億ウォンとＫＯＳＤＡＱで最も多い。実際にこの日外国人投資家はＫＯＳＰＩで７１０９億ウォン、ＫＯＳＤＡＱで４７０２億ウォン相当を買い越した。外国人投資家が全空売り取引で占める割合は７０％水準だ。新韓投資証券のチェ・ユジュン首席研究員は「外国人中心にショートカバーの性格の現物買いが流入した」と分析した。

空売り禁止が株価急騰に油を注いだのは事実だが、米国発の薫風も株価上昇につながった。一段と弱まった雇用市場などで米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）の追加金利引き上げの可能性が減り、米国債利回りが下落するとリスク資産選好心理も回復している。

◇空売り残高大きかった二次電池関連銘柄が大挙ストップ高

米財務省によると、３日の米国１０年物国債利回りは年４．５７％で、先月末の４．８８％から０．３％以上下落した。

この日アジアの証券市場も上昇で締め切った。日経平均が２．３７％、中国上海総合指数が０．９１％、香港ハンセン指数が１．７１％などいずれも上昇で取引を終えた。ハイ投資証券のパク・サンヒョン専門委員は「今回の空売り全面禁止は過去のように危機状況ではないのに行われた。米国の長期金利下落など友好的環境の中、証券市場反騰の局面で空売り禁止措置が出て火に油を注いだ形」と分析した。

米国債利回りの下落と外国人投資家の買い傾向でウォン相場も急騰した。この日ソウル外国為替市場でウォン相場は前日より２５．１ウォンのウォン高ドル安となる１ドル＝１２９７．３０ウォンで取引を終えた。ウォン相場は８月１日の１２８３．８０ウォン以来の高値を記録した。

サムスン証券のチョン・ミョンジ投資戦略チーム長は「ウォン相場下落と輸出不振で外国人投資家は韓国株式を多く買っていなかったが、輸出が反騰し米国の市場金利が下落し再び韓国株式を買う要因ができた」と話した。

ひとまず空売り全面禁止という当局の処方は通じたが、効果が長続きするかに対しては疑問が続く。信栄（シンヨン）証券リサーチセンター長のキム・ハクキュン氏は「空売り投資家の立場では損失が無制限に大きくなる恐れがあり、ショートカバーが出てきたが、ショートカバーの効果は６日が最も強く、これからはますます弱まるだろう」と話した。

イーベスト投資証券リサーチセンター長のシン・ジュンホ氏は「今後電気自動車の需要回復など肯定的なイベントがなければ株価が下落するかもしれない。投資家は保守的に対応するのが良さそうだ」と話した。