【中央時評】ノーベル科学賞と韓国の科学技術政策(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.10.13 11:50
今年もノーベル賞発表のシーズンが韓国の人たちには虚しく過ぎていった。この数年間は受賞候補者に挙がった韓国人がいて興味を引いたが、今年はそれさえもなく終わった。韓国は経済力では世界10位圏であり、最近はKカルチャーを通じて文化的にも認められる国になったが、どうして世界30カ国以上が輩出しているノーベル科学賞をまだ受賞できないのか国民は疑問を抱くかもしれない。実際、ノーベル賞を授賞するスウェーデンの学者もこのような状況に関心を向けているようだ。ノーベル物理学賞審査委員長を務めたスウェーデンの物理学者の知人がいるため私的な席で韓国が受賞できない理由を尋ねたところ、自分たちも国の地位に照らして韓国がまだノーベル科学賞を受賞していないのは不自然だと感じているという言葉が返ってきた。結局、適当な候補がまだいないということだった。
韓国は科学技術への投資にも積極的だが、なぜ基礎科学分野でノーベル賞を受けるほどの業績を出した人がいないのか。筆者が見るに、最も大きな要因は韓国が基礎科学を支援した歴史が浅い点と考えられる。ノーベル賞は論文発表から受賞まで(ノーベル時差と呼ぶ)長い時間がかかるという特徴がある。それだけ厳正な検証をするということだ。ところが韓国は伝統的に科学技術投資の目的が経済開発にあったため、基礎科学に対する投資が少なかった。最近は基礎科学への投資も増やしているが、先進国に比べるとかなり遅い。例えば日本の代表的な基礎科学研究所でノーベル科学賞受賞者を多数輩出した理化学研究所(RIKEN)は1917年に設立されたが、韓国の基礎科学研究院(IBS)は2011年に設立され、1世紀近く遅れた。