台風２号「マーワー」がグアムを直撃し、韓国人観光客およそ３０００人（外交部推算）の足止めを食らった。台風の影響を受けたグアムの関門アントニオＢ．ワンファット国際空港が閉鎖され、仁川（インチョン）とグアムを行き来するすべての航空便が欠航となったからだ。空港の被害状況は正確に伝えられていないが、グアム政府は空港正常化の時点を来月１日とみている。

マレー語で「バラ」を意味する台風２号「マーワー」は中心気圧が９２５ヘクトパスカルの非常に強い台風だ。米国気象庁は台風２号を最大風速が時速２４１キロを超える４等級台風に分類した。４等級台風がグアムに接近するのは２００２年以来。

バイデン米大統領は２３日（現地時間）、グアムに対する非常宣言を承認した。グアム州のゲレロ知事は低地帯・海岸居住住民１５万人に避難令を出した。現在まで人命被害は報告されていない。韓国人観光客はカカオトークのオープンチャットなどを活用して生活必需品・飲食品を分け合いながら孤立生活を乗り越えている。

◆「血圧の薬・おむつ求めます」…停電・断水で食料も不足

小学生の子どもを連れて家族旅行に来たキムさん（４５）は２５日、「昨日午後から歩けないほどの強風が吹き、窓からは風雨が入ってきた。ホテルの中にいたが、船に乗っているように揺れるのを感じた」と現地の状況を伝えた。前日よりは風雨は弱まったが、まだ風は強く吹いているという。

停電・断水で飲食店やマートが閉まり、不足する食料や生活必需品は互いに分け合っている。家族旅行地として人気が高く、高齢者や妊産婦・幼児も多いだけに、薬や粉ミルクなどの確保が急がれる状況だ。キムさんは「子ども連れの家族はおむつもなくて粉ミルクもないのでお互い分け合って使っている。私も午前に短時間だけ開いたマートに行ってミネラルウォーターを買ったが、インスタントラーメンはすべて売り切れていた」と話した。

８０代の母を連れて３人姉妹が一緒にグアム旅行に来たソン・スヨンさん（５１）は「母は糖尿・血圧・ひざの薬を毎日服用しているが、処方が必要な薬なので購入できない」とし「熱がある赤ちゃんもいて困っている人が少なくない。夜にみんながロビーに集まるのでコロナ感染も心配になる」と語った。

各ホテルでは宿泊客が延長投宿することになり、部屋が不足し、野宿に近い状況に追い込まれる人たちもいる。キムさんは「部屋を確保できない人たちはホテルの会議室で簡易ベッドを置いて寝たり、ロビーやソファで寝たりもした」と話した。ある観光客は「あちこちのホテルを歩き回って部屋を探している。チェックインができずロビーで待つ人は私を含めて３０人ほどいるようだ」と伝えた。

食べ物と水も不足している。ホールを提供して無料の食事を提供するホテルもあるが、一部のホテルは食事を提供できず、宿泊客はラーメン・菓子などを購入するためマートに向かっている。地域によっては断水したホテルもあり、宿泊客はトイレにも困っている。

職場に休暇を出して来た会社員は「このままでは解雇されそうだ」と焦りを表した。自営業者のキムさん（３０）は「予約客に一人ずつ電話をして日程を延ばしている。一緒に旅行に来た友人も会社に状況を説明したり、代わりに勤務できる人を探している」と伝えた。

京畿道（キョンギド）に住むキムさん（４１）は「まずは残っている有給休暇をすべて使用し、子どもの学校にも事情を説明した。完全に足止めを食らっている。帰国便が急がれる状況」と話した。

◆６月１日に空港復旧…次々と欠航

空港の正常化時点が何度か延ばされ、観光客は航空券を新たに確保して取り消す状況を繰り返している。ジンエアーの関係者は「最初に２日間の欠航公示を出したが、空港復旧に期間がかかり１日、２日と長引いている状況」と説明した。今週末の３連休のグアム旅行商品も次々とキャンセルされている。モドゥツアーの関係者は「２、３日以内に出発する商品はキャンセルを進めている。これまで台風で欠航になっても１、２日間ほどだったが、このように長く影響を及ぼすのは異例」と伝えた。旅行会社は「内部の議論を経て現地滞留客に補償する予定」と話した。

外交部の関係者はこの日、記者らに対し「在ハガッニャ出張所の公館職員３人全員が非常勤務中」とし「台風による停電・断水と飛行機欠航で不便な点があるが、国民の安全に大きな困難や支障があるのではない」と説明した。