【中央時評】アダム・スミスに大韓民国を尋ねる(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.24 12:02
人類の平均所得は19世紀に入ってようやく生存できる水準を超えた。アンガス・マディソンによると、西暦0-1820年の間、世界の1人あたりの所得の年平均成長率は0-0.05%にすぎなかった。一日中働いてもその日の食事を解決するレベルを抜け出せなかった。しかし奇跡が起こった。数千年間も変わらなかった平均所得が18、19世紀から急増し始めた。その結果、200年間に1人あたりの所得は10倍以上に増えた。人類史上初めて、普通の人も生存を越えて物質的な豊かさを体験できることになったのだ。
その歴史の転換期に何があったのか。飢餓に苦しんできた人類を救った力は何か。産業革命が一つの理由だ。人間が機械の力を借りて生産性が急増した。しかし資本主義がなかったとすれば産業革命は起こらず、アダム・スミスでなかったとすれば資本主義は歓迎どころか不信と恐怖の対象になっただろう。このようにアダム・スミスは人類に豊かさをもたらした大恩人だ。『道徳情操論』と『国富論』に代表される知性の力は同時代の人々を説得し、彼が「自然的自由の体系」と呼んだ資本主義に心を開かせた。人類に及ぼした実質的な恩恵という面でこれほど偉大な貢献をした学者を挙げるのは難しい。
今年はアダム・スミスの誕生300周年だ。彼は1723年のこの時期、スコットランドのカーコーディ(Kirkcaldy)で生まれた。彼を迎えて韓国の経済と社会について尋ねれば何と答えるだろうか。鋭利な知識の光を大韓民国にも照らすことができるだろうか。