【コラム】北核が呼んだ保守の核自強論
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.05.23 15:10
独自の核開発と戦術核再搬入に一線を画した韓米ワシントン宣言が発表された直後、保守層の一部の反応は「納得しがたい」というものがあった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のホワイトハウス国賓晩餐と議会合同演説が好評だったと伝えられて和らいだが、保守層の一部は暴走する北朝鮮の核に対応しようという当初の期待が大きかっただけに、物足りなさを感じた。保守性向の元外交官は私的な席で「今はトランプが次の米国大統領になる可能性も念頭に置くべき」とし「この場合の数まで考えると、NPT(核拡散防止条約)遵守をあえて宣言に盛り込む必要があったのか分からない」と語った。
容易ではないことを知りながらも保守世論が内心期待した理由は、北朝鮮が核搭載が可能というミサイルを次々と発射して威嚇したからだ。韓国社会で保守は次のように類推できるかもしれない。まず理念保守、すなわち同盟保守だ。6・25南侵の経験から反共を基盤に韓米安保同盟を必須前提とする人たちだ。もう一つは個人の自由と国家の責任という2つの価値のうち前者を選択する人たちだ。生活の責任を自身に置く「随処作主」を当然視する行動規範の保守だ。概して韓国の保守は「同盟派」であり「作主派」だ。
ところがこの数年間、北朝鮮の核をめぐり理念保守、行動規範保守に微妙な変化があった。この色彩を「自強保守」と名付けたい。米国だけに安全保障を依託するのは難しく、我々も自ら責任を負うためにプランBを準備すべきという保守だ。プランBの最も攻撃的な主張が核搬入、核開発だ。昨年12月の中央日報とソウル大アジア研究所の世論調査(韓国リサーチ実施)によると、「北核抑止のために戦術核の再配備が避けられない」という回答は保守回答者では73.1%にのぼった。「プラスよりマイナスが多いため不必要」は19.0%だった。半面、自身を進歩と規定した回答者は「再配備不可避」(35.6%)より「不必要」(49.7%)が多かった。