【コラム】坂本龍一氏の「津波ピアノ」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.04.05 10:49
痛みを「道」にしていくその第一歩は「記憶」だ。これをうまく表現してみせた芸術家が、最近亡くなった日本のピアニストで映画音楽家の坂本龍一氏だ。
アジア初のアカデミー音楽賞、グラミー賞などを受賞した坂本氏は2017年、東京で「津波ピアノ」という名称の特別なピアノを展示した。2011年東日本大震災以降、坂本氏が被害地域を訪問してある高等学校の残骸から捜し出したピアノだった。大地震以降、原子力発電所など政府の環境政策を批判してきた坂本氏は津波で壊れたピアノに世界地震データをリアルタイムで収集し、音に変換して自動演奏するプログラムをつなげた。ピアノを「地震を歌う楽器」として生き返らせて「災難を忘れてはいけない」というメッセージを強調した。国籍や言葉を超越した音楽の響きだった。翌年の釜山(プサン)映画祭で韓国観客にもこのピアノの旋律が伝えられた。