２９日午前、慶尚北道浦項（キョンサンブクド・ポハン）の祖師里（チョサリ）海岸。普段は閑散としていているここに多くの人が集まった。数台の観光バスに分乗してきたのは市民団体「休戦７０年韓半島平和行動」の会員２００人余りだった。

彼らは「韓米合同訓練中断」「対決をやめて平和へ」などの文言が書かれた垂れ幕を持って韓米合同訓練の中断を促した。スローガンを叫びながら周辺の道路へ行進したりもした。

ここから車で１０分ほどの華津（ファジン）海水浴場の駐車場には「韓米大規模合同機動訓練熱烈歓迎」と書かれた垂れ幕がかかっていた。垂れ幕周辺では太極旗と星条旗が数十枚掲げられ、１０人ほどが集まっていた。韓米合同訓練に賛成する対抗集会だった。

◇韓米の海軍と海兵隊が浦項で大規模上陸訓練

この日この一帯の浜辺では５年ぶりに韓米合同上陸作戦が実施された。韓米同盟の圧倒的戦力と合同上陸作戦遂行能力を見せることを目標にした上陸訓練で、「決定的行動」と呼んだ。

今回の訓練には師団級規模の上陸軍と大型輸送艦（ＬＰＨ）「独島」、強襲揚陸艦（ＬＨＤ）「マキン・アイランド」など船舶３０隻、Ｆ３５戦闘機、陸軍アパッチ攻撃ヘリ（ＡＨ６４）、マリンオン上陸機動ヘリコプターなど航空機７０機、上陸突撃装甲車（ＫＡＡＶ）５０台などが投入されて実戦を彷彿とさせた。

訓練はキム・スンギョム合同参謀議長の主管で行われ、ラカメラ韓米合同司令官、イ・ジョンホ海軍参謀総長、アン・ビョンソク韓米合同軍司令部副司令官、キム・ゲファン海兵隊司令官らと国会議員、自治体首長、戦友会関係者ら２００人が参観した。

◇「合同訓練が戦争呼ぶ」ｖｓ「北朝鮮の挑発に強い対応を」

これに対し「休戦７０年韓半島平和行動」は、「南北間の対決局面が続き韓半島危機は出口がないほど高まり武力衝突の危険性も大きくなっている。積極的な上陸訓練は韓半島の戦争危機をより高めるだけ。さらに大きな危機につながる前に韓米合同軍事演習を中断して緊張を引き下げ対話環境を作らなければならない」とした。

集会に参加した「全国民衆行動」のキム・ジェハ共同代表は、「この日の訓練は１万５０００人が参加する歴代級規模とされているが、この人数の１００倍以上がこの地で戦争を準備している。われわれ民族は戦争と平和のうちどちらかを決心しなければならず、平和に向けては尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領を追い出すことが第一歩」と主張した。

これに対し「韓米自由の波」が主催した訓練賛成集会の支持者は「北朝鮮挑発が１日と置かずに起きる状況で韓米合同訓練を中断しろというのは北朝鮮侵略に備えるなということ。強い国防力を保有することが平和の前提条件」と強調した。

◇警察、双方の衝突に備える…集会場所も距離を置く

他の支持者も「平和維持方法に対し誤った考えを持つ彼らは歴史を振り返らなくてはならない。平和だけ強調して国防を疎かにした国は必ず侵略された」と指摘した。

警察はこの日、両集会の衝突を防ぐため集会場所を直線距離で２．５キロメートルほど離れさせ、警察人材も２５００人ほど配備した。訓練反対側の集会参加者の一部が賛成側集会の会場近くに行き口論となったりはしたが目立った衝突は発生しなかった。

一方、北朝鮮はこの日国営メディアを通じ韓米合同演習に触れながら激しい語調で非難した。朝鮮労働党機関紙の労働新聞は「不倶戴天の敵に世紀と世代を継いで百倍千倍に固めてきた英雄朝鮮の絶対的力、不敗の自衛の味がどんなものかをしっかり見せつけようという声が絶えず流れている。敵を絶対に容赦せず無慈悲に懲罰するだろう」と威嚇した。