１０年以上にわたり冷え込んでいた韓日関係に春風が吹き始めた。韓国政府が６日に日帝強占期強制徴用被害者問題解決策を発表したのに続き、尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領が１６～１７日に日本を訪問して日本の岸田文雄首相と首脳会談をすることになり、両国関係の雪解けに対する期待が大きくなっている。尹錫悦政権の解決策に対する支持と反発が分かれる中で日本の相応の措置にも注目が集まっている。中央ＳＵＮＤＡＹが８日、日本専門家である申ガク秀（シン・ガクス）元駐日韓国大使と会い、今回の解決策がどのような意味を持っているのかに対する意見を聞いた。以下は一問一答。

――韓国政府の発表がとても性急ではなかったかとの指摘があります。尹大統領の決定をどのように評価しますか。

「強制徴用被害者や一般国民の期待水準に満たなかったことは事実です。この１年間の韓日交渉で戦術的に韓国が望んだ分だけ得られないことには物足りなさがあります。それをすべて得るために時間を使うよりは、少し足りないが今後それを満たしていくことを想定してひとまず韓日関係正常化の時計を速く回すべきだとの戦略的な決断をしたと考えます」

◇韓日経済交流も活性化、ウィンウィンの機会創出

――被害者と市民団体、野党の反発が強いです。尹大統領は正面突破が可能でしょうか。

「今回発表した内容は完結型ではありません。進行形で今後さらに満たしていかなければならないでしょう。韓国国内で支持を確保することが何より重要です。被害者や被害者支援団体がすべてついてくるとは思いませんが、積極的に疎通してその方々が望むことを最大限盛り込もうとしなければなりません。必要ならば大統領が談話などを通じて『みなさんの犠牲のおかげで大韓民国がこのように発展した』として感謝の意を示すことも検討してみたらと思います」

――発表案は始まりにすぎないようです。

「韓日首脳会談などで韓国政府の発表を後押しする日本の呼応が具体化されるよう願います。日本は１９６５年の韓日請求権協定で強制徴用賠償問題も解決されたという立場を堅持しています。これを考慮して現実的に韓国が日本から受けられる期待水準を決めることが合理的で正しいアプローチ方法だと考えます。どうしても一番残念な部分は被害者に対する謝罪です。日本企業は過去に３回の日本の最高裁判所の和解勧告を受け中国人の強制徴用に対しては謝罪しました。謝罪を惜しむ必要はないですね。その程度もできないとすれば問題があると考えます」

――第三者代位弁済解決策は韓国の大法院（最高裁）判決とは相反することではないですか。

「大法院判決とは差があり、そのため国会特別法立法で解くのが正しいと考えます」

――大法院判決勝訴者１５人が今回の発表案のように賠償金を全員受領するのかなど難題がたくさんあります。

「被害者の中には代位弁済を認めない人たちがいて、彼らが再び訴訟を提起する可能性はあります。求償権問題も予想してみることができます。そこで特に与党は野党と積極的に対話して疎通しなければなりません。与野党は党派の利害を離れ何が国益なのかに対して考え、超党派的にこの問題を解決しなければなりません。それだけがこの解決策の持続性を保障できます」

――日本は依然として微温的な対応に出ています。

「日本の一部右派は『韓国は信じられない。いつまた変わるかもわからない』として『韓国に呼応する必要はない』と主張したりもします。しかし『尹政権が国内政治的なリスク負担を押し切って対日関係改善を積極的に推進している。日本政府も呼応して韓日関係が未来に進むのに助けにならなければならない』と考える人も多いです。日本政府が助けられる具体的な内容を満たすために韓国が外交力を発揮しなければなりません」

――未来基金に被告企業の三菱重工業と日本製鉄が参加することが重要だと思いますが。

「可能性は半々だと考えます。これらが留保の態度を見せるのにはふたつの理由を挙げられます。まず自分たちの行為が韓国大法院の判決を容認するものと解釈されることを絶対避けたがります。２番目は未来基金に参加した時にそれが果たして終わりなのか、最終的なものなのかに対し確信できないようです。多様な外交チャンネルや手段を通じ該当企業の参加を最大限促さなければならないでしょう。私は日本の被告企業が自発的に参加することが問題を解決するのに重要であるだけでなく、その企業にも役に立つと考えます。日本製鉄や三菱重工業は世界的な企業です。過去の問題に足かせをかけられ続けるより、この機会に解決して抜け出すことがより良い選択ではないのかと思います。前向きにアプローチすべきだと考えます」

【申ガク秀元駐日大使】徴用解決策は完結でなく進行形、国内支持確保が最も重要（２）