「左手はそえるだけ…」

韓国では３０年前の名セリフが最近再び人々の口に上っている。いわゆるスラムダンクに熱狂する人々のことを指す「スルチンジャ」という新造語まで登場して一大ブームを巻き起こしている漫画『スラムダンク』のことだ。同じ時期、一世を風靡（ふうび）した漫画『美少女戦士セーラームーン』はあるシューズメーカーブランドとコラボ商品を出した。新たに３０年前のキャラクターが起用されている背景には、慣れ親しんだキャラクターを通じて不況を打破しようとする戦略が隠れている。

◇流通業界に広がったスラムダンク熱風

先月４日に公開された劇場版『ＴＨＥ　ＦＩＲＳＴ　ＳＬＡＭ　ＤＵＮＫ』から始まったスラムダンク熱風が流通業界にも広がっている。業界によると、ソウル汝矣島（ヨイド）のデパート「ザ・現代ソウル」で１３日間開かれたスラムダンクのポップアップストアの累積訪問客は１万８０００人余りに達する。売上は開店５日で５億ウォン（約５２００万円）を突破した。グッズ（記念品）販売だけで１日平均１億ウォンの売上をあげたといえる。

コンビニ「セブンイレブン」はスラムダンクの漫画本全巻計２０００セットを準備して今月１０日から予約販売に入る。このコンビニは今月１日にも飲料メーカー「ロッテ七星飲料」とともに「スラムダンクワイン」を発売した。セブンイレブン関係者は「酒類品目だが販売初日から午前に購入者が集まるなど反応が熱かった」とし「人気に備えて普段の酒類品目発注量の数十倍を注文した店舗もある」と話した。

◇慣れ親しんだキャラクターが目を引く

偶然なことに、スラムダンクとともに１９９２年に世に出た少女漫画『美少女戦士セーラームーン』は最近英国のブランドシューズメーカー「ジミーチュウ（ＪＩＭＭＹ　ＣＨＯＯ）」とともに「セーラームーンブーツ」を発売した。漫画出版３０周年を記念して作ったコラボコレクションだ。スワロフスキーのクリスタル装飾をあしらったショッキングピンクのブーツはまるで漫画の中から飛び出してきたような外観で視線を釘付けにした。

９日に訪れたソウル汝矣島の「ザ・現代ソウル」１階のポップアップスペースには圧倒的な迫力を誇るアニメセットが設置された。スタジオジブリが２００４年に製作したアニメ『ハウルの動く城』とスペインのファッションブランド「ロエベ（Ｌｏｅｗｅ）」のコラボレーションを記念して設置された期間限定ショップだ。漫画の中の魔法の城が同じように具現されたショップは写真を撮る人々で込み合った。ここで会った会社員のイ・ダヨンさん（３４）は「店の前を通りかかって見慣れたキャラクターが目に入ってきたので見物している」とし「好きなアニメキャラで作ったカバンを見ると、買うつもりがなくてもまた見てしまう」と話した。

「スラムダンク」「アトムブーツ」…３０年前の漫画が今爆発した理由あった＝韓国（２）