梨泰院（イテウォン）惨事から１００日目の５日、遺族とソウル市がソウル広場焼香所の設置をめぐり対立した。ソウル市は焼香所を違法施設と規定し、自主撤去しなければ行政代執行を行うと警告した。遺族側は撤去を試みた場合、焼身自殺するとして対抗した。

遺族側は前日の４日午後、ソウル広場に焼香所を奇襲設置した。遺族と１０・２９梨泰院惨事市民対策会議会員など１０００人余りが追慕行事に参加するために梨泰院広場から光化門（クァンファムン）広場方面に向かう中、ソウル広場に留まってテント設置を強行した。警察３０００人がこれを阻止するために投入され、もみ合いになった。この過程で遺族１人が失神した。結局、ソウル市が６日午後１時まで自主撤去期限を与え、状況は一段落した。

ソウル広場の焼香所には警察２０人余りが見守る中、追慕客が足を運んだ。市民対策会議側は焼香所の隣に遺族の心理サポートのためのテントを１張追加で設置した。

ソウル市が提示した自主撤去期限（６日）を翌日に控えた時点でも、遺族は焼香所を撤去しない考えを明らかにした。梨泰院惨事遺族協議会のイ・ジョンチョル代表は５日、国会で開かれた「梨泰院惨事１００日国会追慕祭」で「焼香所を撤去しに来た場合、私たちはガソリンを準備しており、その場で皆この子達の後を追う。死ぬつもりだ」とし、「私たちは既にガソリンを準備してある。撤去しに来た瞬間、第２の惨事を目の当たりにするだろう」と警告した。また、イ代表は「子供達のためのたくさんのカーネーションとたくさんの菊の花で華やかに焼香所を作ってほしい」と政界に要求した。

反面、ソウル市はこの日の公式コメントで「梨泰院惨事１００日を追慕しようとする遺族の立場は十分に理解する」としつつも「行政執行計画は変わらない。違法施設物による安全問題、市民間の衝突の可能性を憂慮せざるを得ない」と述べた。

広場をめぐる遺族とソウル市との対立は、セウォル号惨事当時と同様に繰り返される様相だ。セウォル号遺族は事故から約３カ月後の２０１４年７月、真相究明を要求して光化門広場にテントを３張設置した。当時、違法論議があったが、遺族と市民団体などの反発で撤去は行われなかった。ソウル市は政府の協力要請により遺族支援のために日除けなどの用途のテント１１張を追加設置しながらも、２０１９年にテントを自主撤去するまで一日約６０００ウォン（現レートで約６３２円）の弁償金を遺族側に賦課して徴収した。光化門広場の再造成工事のために２０２１年にソウル市議会に移転されるまで、セウォル号のテントと追慕空間は７年間、光化門広場に残った。