【コラム】中産層という錯覚=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.01.30 11:26
錯覚だった。借金よりもコインと株式が先に上がった。最新のフォルダブルフォンを使い、ファインダイニングを探してインスタグラムにも投稿した。ブランド品を見物したり海外旅行を行ったり、ゴルフをしたりする人もいた。この程度なら中産層だと思っていた。暖房費が心配になって下着を着込み、スーパーでかごにいれたものをまた戻して、自炊をしながらガス料金に気を遣う日が来るとは思わなかった。銀行から送ってくる金利変動ショートメッセージサービス(SMS)に肝を冷やすこと数回。自分を中産層だと感じて上を見上げた瞬間。今ははるか遠い昔話になってしまった。
暖房費の請求書と同じくらい人生の変化は突然やってくるが、中産層の危機は目新しいものではない。2019年経済協力開発機構(OECD)が発刊した報告書「危機に置かれた萎縮した中間階層」を見ると万国共通の現象だ。OECDは中産層を「荒波の前に置かれた一隻の船」と表現した。必須財である住居や教育のコスト上昇が所得の上昇を上回ると危険になる。『特権中産層』の著者である米国ハワイ大学名誉教授のク・ヘグン氏は自身を中産層だと考えている多くの人々が「不安階層」に落ちていこうとしているとした。