１８日（現地時間）、２０２２カタールワールドカップ（Ｗ杯）でアルゼンチンがフランスに対してＰＫ戦までもつれ込む名勝負の末に優勝カップの主人公になったが、真の勝者はすでに決まっていたという分析が出ている。それがカタールのタミーム・ビン・ハマド・アール＝サーニー国王（４２）だ。なぜだろうか。

フランス日刊紙「ル・モンド」によると、この日行われたＷ杯決勝戦２チームのエースであり看板スターのリオネル・メッシ（アルゼンチン）とキリアン・ムバッペ（フランス）は共にフランス名門サッカークラブ「パリ・サンジェルマンＦＣ（ＰＳＧ）」の所属選手だ。興味深いチームメイトの勝負にＰＳＧがクラブ広報マーケティング効果をダイレクトに受けてクラブオーナーのタミーム国王がＷ杯の実を取ったという分析だ。

これに先立ち、タミーム国王は２０１１年ＰＳＧを５０００万ユーロ（約７３億円）で買収した。現在のカタール投資庁子会社であるカタールスポーツインベストメントが株式１００％を所有している。アフリカ・アラブ国家として初めてＷ杯準決勝に進出して今大会最大の番狂わせの主人公になったモロッコのアクラフ・ハキミもＰＳＧのチームメイトの一人だ。カタール出身のナーセル・アル・ケライフィＰＳＧ会長はル・モンドに対して「このようにＷ杯トーナメントを盛り上げてくれたＰＳＧ所属選手が非常に誇らしい」と話した。

カタール「オイルマネー」を前面に出して世界で指折りの富豪クラブになったＰＳＧは攻撃的なスカウトで有名だ。２０１７年スペイン・プリメアリガのＦＣバルセロナにいたネイマール（ブラジル）を迎えたが、移籍料は２億２２００万ユーロで当時歴代で最もギャラが高いサッカー選手になった。昨年は「サッカーの神」メッシを迎え、この夏にはムバッペと契約を３年延長することに成功した。ＰＳＧは過去１１年間に彼らをはじめ世界トップクラスの選手を迎えるために１２億６６００万ユーロを投資したと伝えられている。

選手だけでなく最先端のクラブインフラ構築などにも大規模なスポーツ投資を惜しまなかった。カタール大学スポーツ経営・社会科学のマフード・アマラ教授は「今回のＷ杯決勝戦で過去１０余年間国際サッカーに投資してきたカタールの戦略が輝きを放った」と分析した。

カタールは今回のＷ杯を準備しながら２２００億ドル（約３０兆円）を注ぎ込んだ。歴代Ｗ杯において史上最高費用だ。行事以降の運営・メンテナンス費用もかなりのものになる。外国選手を帰化させて開幕６カ月前から合宿訓練をするなど準備をしてきたが、史上初めて開催国全敗という屈辱を受けるなどタミーム国王が望んだ祝砲は打ち上げることができなかった。

これをＰＳＧ所属選手の躍進で自尊心を回復したという評価だ。タミーム国王は優勝カップ授賞式で国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）のジャンニ・インファンティーノ会長の横に位置してアルゼンチンの主将メッシにアラブ圏の伝統衣装である黒のローブ「ビシュト（ＢＩＳＨＴ）」を贈るなど存在感をアピールした。アル・ケライフィ会長は「カタールは小さな国かもしれないが、われわれの夢は無限だ」と伝えた。