ＷＳＪは、ＩＲＡに関して米政府が行動に乗り出す必要があると主張した。すでに成立したＩＲＡを改正することは難しいが、米財務省の行政裁量権を通じてＩＲＡの条項に同盟国企業の製品がさらに多く含まれる方法などが可能だということだ。

その代わり、そのためには同盟国の協力が前提になることが求められる。ＷＳＪはＩＲＡの電気自動車補助金の恩恵が同盟国の電気自動車にも適用させる代わりに、米国が推進している中国に対する半導体規制に同盟国が積極的に参加する必要があると強調した。

米商務省は１０月、中国に対する米国企業の先端半導体装備の輸出を禁止する内容が盛り込まれた輸出統制措置を発表した。同時に「海外直接生産規則（ＦＤＰＲ）」を適用し、米国ではなく第３国の企業も米国の技術・装備を使う場合、中国に製品を輸出することを制限した。特に、半導体装備産業で大きなシェアを占めるオランダと日本などに参加を求めた。しかし、世界２大半導体装備メーカーである日本の東京エレクトロンとオランダのＡＳＭＬは、米国の措置に従うという意思を明らかにしていない。主要市場とされる中国の潜在的な報復を懸念しているためだ。

ＷＳＪは「中国の究極的な目標は、半導体を含むすべての先端技術の自立」とし「高速鉄道・通信装備事例から分かるように、中国は自国企業が中国と海外市場で技術の競争力を持つ前までは海外企業の自国市場への参入を勧めている」と指摘した。また「中国が勝手にするように放っておけば、韓国や日本、欧州の半導体企業が持つ世界市場シェアは数十年後に消えるだろう」とし「米国と同盟国が政治的な一括妥協を実現し、具体的な実行案を導き出すことは難しいだろうが、合意さえできればこれは両側に長期的に大きな利益」と主張した。

これについて、ブルンバーグ通信は「オランダが米国との合意により１０月に米商務省が発表した中国に対する半導体輸出統制措置に関連した製造装備の輸出制限措置を早ければ来月発表する」とし「オランダ政府の措置は中国の半導体活動と軍事的野望を折ろうとする米国の努力に力を加えるだろう」と伝えた。

ＷＳＪ「米国と韓国・日本・ＥＵ、中国けん制に向けたＩＲＡ・半導体の一括妥協を」（１）