【中央時評】火星17号、キム・ジュエ、そして中国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.12.07 11:12
キム・ジュエの突然の登場は金正恩の差し迫った状況を暗示している。政治的ショーに娘を引き込んで核の価値を宣伝しなければならないほど状況が良くないという告白だ。何よりも経済危機を反転させる方法がない。密輸禁止を解除して市場活動を奨励すればある程度は役に立つだろうが、これによる社会的弛緩が心配だ。国際社会の制裁に対抗して自力更生を主張しただけに、韓国の人道的支援を受けるのも難しい。経済を生かすためには中朝経済関係がコロナ事態以前に戻らなければならないが、中国の防疫政策でその時点が延びている。こうした不確実性の中で経済がどれほど持ちこたえられるかを心配するしかない。今は不満を思想統制で抑え込んでいるが、いつ蓋が開くのか焦りを抱いているはずだ。
習近平体制の不安定も金正恩には心配だ。中国の硬直的な経済運用とゼロコロナ政策は成長と雇用創出を阻害している。社会主義現代化の核心である共同富裕が成功するればノーベル賞に値する業績になるだろうが、その確率はゼロに近い。さらに米中の対立は中国経済の重要な制約要因になっている。こうした環境のため中国社会は安定より不安定になる可能性が高い。内部の問題が深刻化すれば、中国は北朝鮮を擁護する余裕もなくなる。さらに大きな問題は、追い込まれた中国が米国との関係改善のために北朝鮮を取引対象にする可能性もあるという点だ。こうした中国に全面的に依存するしかない北朝鮮の脆弱性がキム・ジュエを発射場に呼び込んだ根因だ。