【中央時評】火星17号、キム・ジュエ、そして中国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.12.07 11:12
11月18日、北朝鮮は「火星17号」と呼ばれる大陸間弾道ミサイルを試験発射した。この現場に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長はキム・ジュエと推定される娘を同行させ、注目を受けた。2018年、金正恩は当時のマイク・ポンペオ米CIA(中央情報局)長官に「私の子どもたちが一生核兵器を抱えて暮らすことを願わない」と述べた。通常の親のように金正恩も子どもが戦争の苦痛を受けず平和に暮らすことを望むはずだ。その金正恩が4年後には9歳ほどの幼い娘を核弾頭搭載が可能な大陸間弾道ミサイル発射場に連れてきたのだ。自身の過去の言葉を覆し、親の性情までも拒否した金正恩の切迫した意図は何だろうか。金正恩は誰にどんなメッセージを伝えようとしているのか。
独裁権力を支える力も住民の支持だ。「政治権力は銃口から生まれる」という毛沢東の主張は短期的には正しいかもしれない。しかし長期にわたり多くの人々を銃だけで治めることはできない。結局、独裁者も住民の心をつかまなければいけない。特に経済難で住民の支持が下落する時はなおさらだ。現在の北朝鮮住民の所得は2016年に比べて40%近く減少したとみられる。主な所得源だった市場活動と外貨稼ぎ、密輸などが制裁とコロナで大きな衝撃を受けたからだ。2016年には4人家族の月中位所得が40ドルだったが、現在は30ドル未満に減った。さらにコメやトウモロコシの価格は2016年初めと比較してそれぞれ20%、50%も上昇した。このように生計の維持が厳しければ、核・ミサイル開発に不満を抱く住民が増える。核開発のために制裁を受けて経済難になったという認識と共に、核の代わりに経済に資金を投入すべきだという考えが住民の間に広がるだろう。金正恩はこの不満を抑えなければならなかった。