【コラム】政府のせい、被害者のせい、でなければハロウィンのせい?=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.11.04 15:01
19世紀の英国画家ウィリアム・ホルマン・ハントの代表作に『スケープゴート(The Scapegoat)』(邦題『贖罪の山羊』)という絵があるが、韓国では「犠牲の羊」と訳されることがある。山羊一匹が荒涼な塩湖で瀕死状態で息を切らせていて、その周辺には山羊の悲劇的未来を暗示する獣の骨がところどころに見える。旧約聖書レビ記によると、古代イスラエルでは「贖罪の日」の名節に山羊一匹を選んでその頭に手をのせてイスラエル民の罪を一つ一つ詠じてその罪を山羊に負わせた後、広野に放つ風習があったという。古代人は自然災害や戦争のような災難が罪に対する神の懲罰だと考え、その罰から逃れようとこのような贖罪意識を挙行した。社会構成員を安心させて一つにまとめる効果はあったが、もともとの災難を防ぐためには何の効果もなかったのはもちろんだ。
今日の英語単語「スケープゴート」は社会を揺るがす大きな問題が生じた時、社会構成員の都合により、その問題の過ちをすべて背負わされて後ろ指を指される個人または少数集団を指す言葉になった。「犠牲の羊」の直訳である「sacrificial lamb」とはニュアンスが若干違うが、2つを同じ意味で混用する場合が多く、スケープゴートを犠牲の羊と訳しても大きな問題はない。今からこの文で論じる「犠牲の羊」はスケープゴートを意味する。