【時視各角】安保の現実に目を閉じた「親日国防論」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.18 11:17
外交史の1ページを飾った名言の中に「政治は国境で止めるべき」という言葉がある。1948年に米国で野党だった共和党出身の上院外交委員長アーサー・ヴァンデンバーグが民主党政権の対外政策であるトルーマン・ドクトリンを支持しながら述べたこの言葉は、与野党政争が外交・安全保障問題に広がってはいけないという意味だ。彼の支持をきっかけにトルーマン政権はマーシャルプランと北大西洋条約機構(NATO)創設を実行することができた。重大な外交政策には与野党が超党派的な協力をする米議会の伝統はこうした経験を経て形成されたものだ。
現在の大韓民国の安保状況はヴァンデンバーグの協力政治を切実に必要としている。連日ミサイルを発射する北朝鮮の脅威の前で与野党は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に非核化の意志があるかどうかという神学論争をしてはいけない。プーチン露大統領の戦術核使用示唆発言に特に韓国政界だけが鈍感であるのをみると、プーチンの次の順序が金正恩という事実を忘れているようだ。数日前、中国の習近平国家主席は台湾統一に武力使用という選択肢があると公言した。他人事でない。台湾侵攻が現実化すれば、戦略的柔軟性を行動の原則とする在韓米軍の戦力の相当部分が抜ける可能性がある。金正恩が虎視耽々と狙う状況がくることもあるということだ。