メモリー半導体世界１位のサムスン電子が世界的な景気低迷の懸念にもメモリー半導体の減産は検討していないと明らかにした。米カリフォルニア州シリコンバレーで５日に開かれた「サムスン・テックデー２０２２」でだ。

サムスン電子メモリー事業部のハン・ジンマン副社長はこの日の会見で、メモリー減産計画に対する質問に「現在としては（メモリー半導体減産に対する）議論はない」と答えた。ハン副社長は「人為的減産はないというのが（サムスン電子の）基調。しかし深刻な供給不足・過剰が起きないよう努力している」と説明した。

景気低迷と需要減少で競合企業が相次いで減産計画を打ち出す状況での言及に業界が注目している。先月２９日に米マイクロンは生産量を減らし来年度の投資を３０％縮小すると明らかにした。ＮＡＮＤ型フラッシュメモリーのビッグスリーである日本のキオクシアも最近メモリー生産を３０％減らすことにした。

ハン副社長はＮＡＮＤ型フラッシュメモリー業界の層数競争に対しても「ＮＡＮＤは何層を積むかが重要なのではなく生産性が核心。より経済的で良いソリューションを市場に提供することが重要だ」と話した。

ＮＡＮＤ業界では「３Ｄ積層」の技術競争が激しい。データを保存できるセルを積み上げるほど少ない費用で高容量製品を作ることができるからだ。ＳＫハイニックスやマイクロンなどは今年２００層以上のＶ－ＮＡＮＤ技術を公開した。現在１７６層のＶ－ＮＡＮＤを生産しているサムスン電子は、今年２３０層以上、２０３０年までに１０００層の積層技術を実用化する方針だ。

今回のテックデーでサムスン電子は「人間水準に近い」機能のシステム半導体を開発するという計画を明らかにした。システム半導体を将来の収益源として公表したサムスン電子の計画が具体化した格好だ。サムスン電子は頭脳の役割をするＳｏＣをはじめ、目に当たるイメージセンサー、神経網・血管に当たる通信用チップ、心臓・免疫体・皮膚に当たる電力半導体などを出す予定だ。文字通り人の機能に近い半導体を実現するという意味だ。

システムＬＳＩ事業部長のパク・ヨンイン社長は「モノが人のように学習と判断をしなければならない第４次産業革命時代に人間の頭脳、心臓、神経網、視覚などの役割をするシステム半導体の重要性はもっと大きくなるだろう。サムスン電子はＳｏＣ、イメージセンサー、ディスプレー駆動チップ（ＤＤＩ）、モデム（通信チップ）など製品の主要技術を有機的に融合する『統合ソリューションファブレス』になるだろう」と明らかにした。

サムスン電子はメモリー減産を検討しない理由について具体的に明らかにしていない。だが今回のテックデーを通じて製品競争力と、メモリーとシステム半導体のシナジーを通じて不況の高波を乗り越えたいという本心を表わした。

サムスン電子は参考資料を通じ「デジタルトランスフォーメーション（ＤＸ）の未来は人工知能（ＡＩ）、ビッグデータ、超連結などを通じた革命」と前提にして「ＤＸ時代にはデータを保存し処理する技術の発展が必然的」とした。続けて「メモリー半導体とＡＩプロセッサを結合（ＨＢＭ－ＰＩＭ、ＣＸＬなどの技術）するＤＲＡＭモジュールにＡＩエンジンを搭載（ＡＸＤＩＭＭ技術）するなど新技術は単純にナノプロセス開発だけではＤＸに備えにくいため」と説明した。

引き続き「メモリーとシステム半導体の融合・複合を通じて伝統的なメモリー半導体の機能を跳び超えより能動的な素子になっている。このためサムスン電子の次世代保存装置をＩＴ企業や研究者が自由に使用できるテストベッドであるサムスンメモリーリサーチクラウド（ＳＭＲＣ）を開いて協力を拡大していく計画」とした。

サムスン電子の説明を総合すればメモリーやシステム半導体それぞれで勝負するのでなく、２つの製品の融合とシナジーを通じて競争力を引き上げるということだ。半導体業界関係者は「今回のテックデーの内容は景気低迷にもＤＸ需要は増えるものであり、ＡＩメモリー半導体と人間の神経網のようなシステム半導体のシナジーを通じて競争力を確保するという意味」と分析した。

サムスン電子関係者は「人間の頭脳と五感の役割をする半導体を開発することが目標であり、現在も約９００件余りの多様な製品ポートフォリオを備えている。モバイル中心の事業領域から脱却し、家電や車載用半導体など多様な産業に拡大していく計画」と話した。