【コラム】「西海韓国公務員射殺事件」の波紋を終わらせるには
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.10.06 15:35
2年前に発生した「西海(ソヘ、黄海)公務員殺害事件」に関連し、監査院が文在寅(ムン・ジェイン)前大統領に対する書面調査を図り、政争が加熱している。「無礼だ」という文前大統領の発言には自身が任命した崔載海(チェ・ジェヘ)監査院長に対する怒りも込められていたのだろう。監査院が書面調査をしないことで一段落したが、国政監査のシーズンに、検察が捜査する渦中に、他の関係者の調査も十分でない状況で、前職大統領の調査が適切なタイミングなのかは疑問だ。しかし事件発生から2年が経過したことを考慮すると、真相究明が急がれるのは確かだ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に入った後、実体が少しずつ表れた。海洋水産部のイ・デジュン主務官が自ら北側に向かったという前政権の発表には十分な根拠がない。時間が流れても決定的な証拠は出てこない。なら北朝鮮軍に射殺された直後にどのような過程でイ氏は「越北者」になったのだろうか。カギは当時の文大統領に渡った報告書にあるはずだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の参謀陣が出版した『大統領報告書』をみると推察が可能だ。演説企画秘書官だった金慶洙(キム・ギョンス)元慶尚南道知事らが執筆したこの本には、緊急な事件・事故が発生した際、青瓦台(チョンワデ、大統領府)報告書を作成するという原則がある。
「状況・情報報告書が別の報告書と明確に異なる点は迅速・正確・簡潔性を重視する」という部分が目を引く。22日午後9時40分ごろイ氏が射殺されたが、大統領への報告は23日午前8時30分に行われたという発表は、この本が提示した報告指針に背く。