【時視各角】安重根の淡々さ、李在明の悲壮さ(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.09.11 13:21
金薫(キム・フン)の小説『ハルビン』で安重根(アン・ジュングン)と同僚の禹徳淳(ウ・ドクスン)の対話はドライだ。ウラジオストクの酒場で会った2人は伊藤博文を撃つ大義名分などは口にしない。互いに考えを確認した後、2日後にハルビン行きの列車に乗るだけだ。ハルビンでの偉業の準備も日常的業務処理のように淡々とする。動線と役割を点検し、新しい服を買って着て、記念写真を撮る。悲壮でないからより悲壮だ。作家が「最も美しい」と自評する部分だ。
李在明(イ・ジェミョン)代表に対する検察捜査を控えた民主党がとても悲壮だ。弾圧・報復・戦争という単語が出てきた。「金大中(キム・デジュン)拉致事件」の比喩まで登場した。心の中では独裁時代の野党の苦楚に対し当てこすりたいところだ。しかし最近の言葉では「オーバー」だ。李代表の疑惑は新しいものではない。検察と警察が選挙を意識して先送りしておいた件だ。淡々としているからより悲壮なことがあるように、悲壮だからこそよりみすぼらしくなることもある。