外換銀行の買収・売却過程をめぐる外国系投資ファンドのローンスターと韓国政府の間の１０年紛争に対する判定が出てきた。世界銀行国際投資紛争解決センター（ＩＣＳＩＤ）仲裁機関は韓国政府に対し、ローンスターが請求した損害賠償金の４．６％に相当する２億１６５０万ドル（約２８５５億ウォン、約２９５億円）を支払い、売却承認遅延に対する利子も賠償するよう決定した。利子を含めると韓国政府がローンスターに支払うべき金額は約３０００億ウォンと推算される。政府は国際仲裁機関の判断を不服として異議申し立てを検討することにした。

ローンスターは、２０１２年１１月のハナ金融持株への外換銀行売却過程で韓国政府が不当に介入し、４６億７９５０万ドルの損害が生じたとして、「投資家対国家の紛争解決（ＩＳＤＳ）」を通じて国際仲裁を提起した。ローンスターは２００３年、外換銀行を１兆３８３４億ウォンで買収した後、ＨＳＢＣなどと売却交渉をしたが、結局、２０１２年にハナ金融持株に３兆９１５７億ウォンで売却した。ローンスター側は売却過程で韓国政府が介入したことで高く売却する機会を逃し、価格を引き下げるしかなかったため、損害を賠償すべきだと主張してきた。

今回の国際仲裁機関の判定については見方が分かれる。韓国政府の一部の帰責事由で３０００億ウォンを国民の税金で支払うという点には否定的な評価をするしかない。損害賠償金がローンスターが当初請求した金額の４．６％水準という点で韓国政府が善戦したという評価もある。

ローンスターの外換銀行買収は「安価売却」という批判を呼び、銀行買収資格がない産業資本という主張が売却の終盤まで提起された。ローンスターを産業資本と判断して懲罰的売却命令を出そうという一部の主張に従わず、外換カード株価操縦に関連して裁判所の最終判決を政府が待ったのは結果的によかった。売却遅延に関連した韓国政府の責任を一部認めながらも、そのような事態を招いた原因提供者がローンスターだという理由で、仲裁機関が賠償金を半分で減らしたからだ。しかしローンスターの「食い逃げ」をそのまま許すわけにはいかないという国内情緒法とグローバルスタンダードの間で政府がまごついたため、社会的論争と費用がさらに膨らんだ側面がある。その被害はそのまま国民に向かう。

ローンスターの件が終わったとしても、韓国政府はまた別の数件の国際投資紛争に対応しなければいけないい。法務部によると、韓国政府を相手に提起された６件の国際投資紛争が現在進行形だ。今後も経済規模が拡大して国際投資活動が活発になるしかない点を考慮すると、類似の紛争事例はさらに増えるしかない。政府の透明な政策執行、国内外事業者に対する公正な待遇のようなグローバルスタンダードの重要性を改めて銘記する必要がある。