【コラム】「尹錫悦政府はどこを見ているのか」から答えるべき(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.08.11 14:02
最近、与党内で文在寅(ムン・ジェイン)政権の広報策略家、卓賢民(タク・ヒョンミン、元青瓦台儀典秘書官)がよく言及される。「我々にもそのような人物が必要ではないのか」という嘆きだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の支持率が低迷する理由を広報や企画の不足に見いだす視線だ。一理ある。出勤する際に記者らの前に立つ大統領だが、PI(President Identity)戦略が皆無のように映る状況を考慮すると確かにそうだ。TPO(時・場所・状況)に合わない大統領の露出などを考えると「大統領室に広報マインドがあるのか」という疑問も抱く。ナンシー・ペロシ米下院議長を避けた大統領が演劇の公演を見に行った写真を配布し、大統領室はいったい何のメッセージを狙ったのか気になる。
しかし支持率急落の理由を単なる広報不足とするのは錯覚だ。今の尹錫悦政権の問題は広報不足でなく哲学の不在だ。たとえ哲学があったとしても、これを明快かつ整理された言語で伝達できない意思疎通の不在が問題だ。大統領が記者の前に毎日立ったり、大統領の日常が露出すれば、これが意思疎通になると考えているのなら誤算だ。断片的で時に矛盾する言語は、意思疎通どころか、リスクになることもある。