脱北漁民の北朝鮮送還問題で韓国新旧権力が正面衝突…「亡命意図なかった」vs「死地に送り返して取り繕い」(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.07.18 09:18
2019年11月に発生した脱北漁民の北朝鮮強制送還事件を巡り、韓国の新旧権力が17日、真っ向から衝突した。鄭義溶(チョン・ウィヨン)元国家安保室長はこの日午前、北朝鮮に強制送還された脱北漁民を「希代の猟奇的殺人魔」と規定し、当時の決定が正当だったという趣旨のコメントを出した。統一部が今月12日、板門店(パンムンジョム)で撮影された強制送還の写真を公開し、検察も捜査を本格化させていることを受けて出した反論性のコメントだ。それから約5時間後、大統領室の崔英範(チェ・ヨンボム)広報首席が直接マイクを取り、「詭弁」などの表現を使って鄭元室長の主張に再反論する異例の風景が広がった。
発端は鄭元室長がこの日午前10時30分ごろに配布した「凶悪犯追放事件に対する立場文」というタイトルのコメントだった。鄭元室長は立場文を通じて「どれほど前政権を否定したくても韓国の法に則って決定し処理した事案を今になって関連部署を総動員して蒸し返すのは自ら政府体制を倒すということ」と主張した。事件を改めて検証しようとしている尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の動きを事実上「反政府行為」と規定したのだ。あわせて「新たな事実が追加で明らかになっていないにもかかわらず、現政権が既存の判断をどのように翻意したのか特検と国政調査で明らかにしなければならない」と強調した。
細部的に提起されている疑惑に対しても鄭元室長は反論に出た。脱北漁民合同尋問手続きを終わらせた直後、北側に関連内容を通知した理由については「追放する場合、相手国の引き受け意思を確認しなければならないため、北側に意志を先に打診した」と説明した。脱北漁民が自筆で亡命意向書を作成したのに亡命意思がないと判断した背景としては「拿捕された後、東海港(トンヘハン)まで来る過程で、亡命意思を明らかにしなかった」という点を根拠を挙げた。韓国内の司法手続きに伴う裁判過程を省略した理由に関連しては「北朝鮮住民が別の北朝鮮住民に犯した凶悪犯罪に関連し、韓国裁判所が刑事管轄権を行使した前例がない。また、彼らの自白だけでは事実上処罰が不可能だ」と強調した。