ロシア軍がウクライナ東部ドンバス地域の一つの軸、ルハンシク（ルガンスク）州を占領した中、プーチン露大統領が内部結束に注力している。軍には報酬と休息を与え、庶民には経済的支援を施行しながらだ。一方では反対の声を出す人たちを逮捕しながら恐怖感を形成している。

４日（現地時間）のロシア・タス通信によると、プーチン大統領はこの日、ショイグ国防相からルハンシク州占領の報告を受けて勝利を公式宣言した後、手柄を立てた中央軍管区のアレクサンドル・ラピン司令官らに「ロシア連邦英雄」勲章の授与を決定した。

この勲章は旧ソビエト連邦（ソ連）英雄称号を継承したもので、ロシアの軍人に授与される最高勲章だ。これに先立ちウクライナ戦争での軍事的失敗で相次いで将官を更迭したのとは違い、東部戦線での勝利を祝う姿だ。

この日、プーチン大統領はルハンシクで戦闘をした軍人に休息を与え、戦力の回復を指示し、「今までルハンシクでしたようにすべてのことが適切な方向に進むことを望む」と述べた。

プーチン大統領は庶民には経済的支援を通じて西側の制裁による不満を抑えようとしている。ロシア政府はウクライナ侵攻後、最低賃金を１０％引き上げ、年金給付額も２０％ほど引き上げた。妊婦と子どもがいる家庭、公務員に対する個別支援も強化している。

ウォールストリートジャーナル（ＷＳＪ）は３日、「ロシアが石油と天然ガスを販売した代金で景気沈滞を相殺することはできないが、こうした支援政策はプーチン大統領が『西側の制裁はロシアより西側により大きな被害を与えている』と主張することを可能にする」と伝えた。

半面、批判的な声を出すとみられる人を逮捕するなど恐怖政治を続けている。すい臓がんだった物理学者ドミトリー・コルケル氏がスパイ容疑で先月３０日に逮捕されてから２日後に死亡したのに続き、著名な経済学者ウラジミル・マウ国家経済行政アカデミー（ＲＡＮＥＰＡ）所長とノヴォシビルスク理論・応用数学研究所の科学者アナトーリ・マスロフ氏もそれぞれ詐欺とスパイ容疑で最近逮捕された。

ニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）は「この中の誰も公開的に政権を批判する人ではなかった」とし「逮捕の形をみると、波紋を起こすために意図されたもののように見える」と指摘した。

ロシアがこのように内部結束の強化に動く中、ロシア軍を疲弊させるというウクライナの戦略が妥当かどうか判断すべきだという指摘が出ている。東部戦線でロシア軍が莫大な被害を受けているが、着実に目標を達成していてウクライナ側の被害も大きいという点でだ。

ウクライナ政府によると、ウクライナ軍にも毎日２００人ほどの死傷者が発生し、ロシア軍に敵対する武器の被害も大きい。ウクライナが西側の武器支援を受けているが、経済規模が大きく冷戦時代から蓄積してきた武器が多いロシア側が長期戦に有利というのが、専門家らの評価だ。

しかしウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は４日のオンライン演説で「（ルハンシクの勝利は）ロシアがウクライナで収める最後の勝利になるだろう」とし、抗戦の意思を固めた。現在ルハンシク州リシチャンスクから後退したウクライナ軍はドネツク州北部のスラビャンスクとバフムトの間でロシア軍の侵攻に備えていると、ウクライナ政府当局者は伝えた。