【コラム】宇宙ガバナンス「どこに」でなく「どのように」が重要だ=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.06.27 14:05
国内技術での宇宙ロケット「ヌリ号」打ち上げ成功。韓国航空宇宙研究院(航宇研)の研究者に喝采を送る。ロケット開発を粘り強く支援してきた科学技術情報通信部も拍手を受けるべきだ。ロケット開発は任務中心型研究開発の代表的な事例だ。科学技術情報通信部は財政当局の周辺でよく提起される懐疑論を押し切って、過去10年間ほどで約2兆ウォン(約2000億円)の研究開発予算を投入した。約5200億ウォンが投入された「羅老」まで含めると、5つの政権にわたり20年近く韓国型ロケットを開発してきた。こうした長期プロジェクトを継続できるということ自体が韓国の研究開発システムが強大国型に進化したという傍証だ。すぐにはお金にならない超大型プロジェクトに取り組める国力を備えたこと、科学技術を絶えず支持して応援する国民がいることも成功の必須要件だった。
ヌリ号は実用性よりも象徴性が大きい。コロナに疲れた国民に喜びを与えたという効果が大きい。ヌリ号は1.5トンほどの搭載物を地球の低軌道に乗せることができる中型ロケットだ。本格的な商用ロケットとしての経済性や競争力とは距離がある。来年予定された3回目の打ち上げを含め、数回打ち上げられるだろうが、これは経験の蓄積と量産技術確保というレベルになるだろう。ヌリ号で世界衛星打ち上げ市場に挑戦するのは容易でない。技術の発展によって衛星が小型化し、イーロン・マスクのスターリンクのように多数の低軌道衛星を利用するようなトレンドはプラスだ。しかし保守的な衛星打ち上げ市場でデビューしたばかりのロケットが信頼を得るには時間がかかる。一度に数十機の衛星を打ち上げる先進民間企業の大型ロケットとは単価競争もできない。韓国よりはるかに先にロケットを開発した日本も自国の科学衛星や探査船打ち上げに使用するだけで、商用衛星打ち上げ市場では力を発揮できない。ヌリ号に使用されたケロシン燃料ガス発生器サイクルエンジンは良くいえば検証された、価格性能比が良い技術だが、最先端エンジンとは呼べない。