【コラム】沿岸国の呪いを解くには…韓国、米露両国と関係増進すべき(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.30 13:50
◆米国、友邦の対ロシア制裁の例外を黙認
北東アジア5強(韓半島周辺4強+韓国)の勢力均衡を想定してみると、1815年のウィーン体制が思い浮かぶ。ヘンリー・キッシンジャー元米大統領補佐官はウィーン体制を、欧州の安定のための5強のバランスが取れた外交と見なした。著書『回復された世界平和』(1957)でキッシンジャー氏はウィーン体制以降の100年余りの欧州の安定は、列強間で合意した正統性(legitimacy)のためと述べた。ウィーン体制が、自由主義理念の拡大を防いで旧体制の既得権維持のためのものだったなら、北東アジア5強の勢力均衡は戦争の破壊と殺傷を防いで自由と平和を繁栄させるものだ。ウィーン体制が「正義はないが正統性があった」とすれば、北東アジアの勢力均衡は「正義もあり正統性もある」だ。したがって北東アジアの勢力均衡はウィーン体制よりも安定的かもしれない。現在進行中のウクライナ戦争をめぐる韓国の選択が韓米同盟を損傷させたりロシアと敵対するものでなければの話だ。
米国は友邦の対ロシア制裁にも例外を黙認している。米国の同盟国イスラエルは対ロシア経済制裁に参加せず、ミサイル防衛用のアイアンドームと情報用ペガサスに対するウクライナの輸出要請も拒否した。インドは対ロシア制裁どころか、ロシア産石油の輸入を倍に増やした。インドネシアは米国の反対にもかかわらず、ロシアのプーチン大統領をG20首脳会議に招請した。日本は対ロシア経済制裁に積極的に参加するが、石油・天然ガス開発事業のサハリン1・2プロジェクトなど自国のエネルギー安全保障関連事業は放棄しない点を明確にした。米国の最大同盟国のEUも北大西洋条約機構(NATO)防衛費引き上げ、ロシア産石油・天然ガス輸入先代替費用、米国に対する戦略的自律性など損益計算に忙しい姿だ。