【コラム】大統領残酷史の教訓=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.17 16:09
韓国では国民が大統領を直接選ぶ「87体制」以降、歴代大統領は就任初期に国民との距離を狭めるべく努力を傾けてきた。盧泰愚(ノ・テウ)元大統領は大統領として初めて自分のことを「私(わたくし)」と称し、金泳三(キム・ヨンサム)元大統領は青瓦台(チョンワデ、大統領府)のランチメニューに韓国式うどん(カルグクス)を入れ、金大中(キム・デジュン)元大統領は権威主義の遺物として聞こえる「閣下」の代わりに「大統領様」と呼ぶようにさせた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は小学生のために車から降りてサインをし、李明博(イ・ミョンバク)元大統領は「大統領様~」から始まる青瓦台報告書から「様」を取るようにした。朴槿恵(パク・クネ)元大統領は大統領単独で上席に座る形態の部署別業務報告慣例を破り、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は構内食堂で列に並んでトレイに食べ物を自分で取って入れた。どの大統領も脱権威、愛民のリーダーシップで国政を導こうと思った初心からそうしたに違いない。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府スタートから1週間が経とうとしている中で政権交代を実感させる場面が各方面で目撃されている。尹錫悦大統領夫妻は就任式場を訪れた前職大統領に腰を曲げて礼を表し、大統領室を移した龍山(ヨンサン)庁舎の近くの高齢者の敬老堂(韓国の高齢者向けの地域福祉施設)やオリニチプ(保育施設)に立ち寄って「転入報告」をした。大統領の出勤途中に令夫人が伴侶動物と一緒に見送る姿も、大統領室庁舎ロビーで大統領が取材陣とその場で質疑応答する姿も「青瓦台時代」には見られなかったことだ。