【中央時評】韓国新政権、「包容的貿易政策」講じるべき(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.05.13 14:54
貿易を通して消費者は選択の範囲が広がり、安い価格で物を購入できるなどのメリットがある。一方、輸出産業は利益を得て、競争力がない産業は輸入の増加で被害を受けたりする。特に被害産業の労働者は所得が減ったり職場を失ったりするなど困難に直面する。この場合、政府は貿易で被害を受けた産業、企業、労働者に所得再分配政策を通じて財政的な補償をする。このすべての効果を総合すると、貿易は国家全体で見て利益になる。これが伝統的な貿易理論だ。
しかし最近は多くの国で失業増加と所得分配悪化の原因がグローバル化と貿易にあるという見方が広がっている。グローバル化で企業が海外に出て行き、外国からの輸入が増え、国内の労働者が苦労するという見方だ。実際、海外に進出した企業を自国にUターンさせるための誘引策と、輸入より国内生産を重要視する措置が数多く採択されている。こうした現象をみると、我々が今まで理解していた貿易理論が間違っているのではと疑ったりもする。
貿易理論によると、貿易の最大受恵者は消費者だ。しかし消費者個人が肌で感じる部分は少ないかもしれない。半面、輸入が増えて特定産業が被害を受ける場合、該当産業の従事者は貿易に強い不満を抱く。政府が支援するとしても、苦しむ当事者の立場ではいつも政府の支援は十分でないと感じる。貿易に参加する機会さえも得られない中小企業も多い。さらに保護貿易主義を選挙に利用しようとする政治家までが登場し、貿易に対する視点は否定的に変化している。