サムスン電子の李在鎔副会長が昨年１月に京畿道の平沢第３工場建設現場を点検している。［写真　サムスン電子］

サムスン電子が２０２６年までに半導体売り上げを昨年の２倍に拡大する戦略を立てたことが確認された。大型買収合併を念頭に置いた布石とみられる。

◇５年以内にＤＳ部門の売り上げ２倍に成長を目標

９日の財界によると、サムスン電子はディスプレーを含む半導体（ＤＳ）部門の売り上げを２０２６年に２５０兆ウォンに引き上げるという方針を定めた。昨年のＤＳ部門売り上げ１２５兆ウォンの２倍規模だ。毎年１５％ほど成長することで可能な話だ。この５年間のサムスン電子ＤＳ部門の年平均売り上げ増加率は４．９％だった。この５年分に比べ３倍に成長してこそ達成可能な目標値だ。サムスン電子高位関係者はこれと関連し「十分に達成可能というのが経営陣の判断」と話した。

◇Ｐ３・Ｐ４とテイラー工場など生産能力増加

サムスン電子の半導体生産能力はこの期間で大幅に増える。まず単一ファブとしては世界最大規模である平沢（ピョンテク）第３工場（Ｐ３）が下半期に稼動を始める予定だ。Ｐ３はメモリー半導体とファウンドリー（半導体委託生産）複合生産施設だ。平沢４工場（Ｐ４）もやはり早ければ２０２４年に稼動し、米テキサス州テイラーに決まったファウンドリー工場は同年下半期に量産に入るのが目標だ。

それでも売り上げ２５０兆ウォン達成には限界がある。昨年サムスン電子ＤＳ部門でメモリーの売り上げは７２兆６０００億ウォンで５８％を占めた。ディスプレーを除くと７７％に達する。投資銀行ゴールドマン・サックスと市場調査会社オムディアによると、２０２０～２０２５年にメモリー市場は年平均１０％ほど成長する見通しだ。サムスンのシェアは昨年１０－１２月期基準でＤＲＡＭが４２．３％、ＮＡＮＤ型フラッシュが３３．１％だった。

◇メモリーとファウンドリーの売り上げ急増には限界

ただメモリー市場でサムスン電子がシェアを大幅に上げるには限界がある。ＤＲＡＭはサムスン、ＳＫハイニックス、マイクロンの３社が寡占し、ＮＡＮＤはキオクシア、ＷＤＣ、ＳＫハイニックス、マイクロンがそれぞれ１０％台のシェアでサムスンを追撃中だ。

ファウンドリー市場も同様だ。トレンドフォースは世界のファウンドリー市場が２０２０～２０２５年に年平均２桁で成長するだろうと分析した。だが昨年のサムスン電子のシェアは１８％で、台湾のＴＳＭＣの５３％との格差をなかなか縮められずにいる。

４－６月期に業界初にゲートオールアラウンド（ＧＡＡ）基盤の３ナノプロセス量産に成功すれば市場の構図を揺さぶることはできる。だが業界専門家は「サムスンがＧＡＡ３ナノの量産に成功してもアップル、ＡＭＤ、クアルコムなどＴＳＭＣの大口顧客を大挙奪うのは難しい」と話す。ある証券会社アナリストもやはり「寡占問題や市場構造を考慮するとサムスンがメモリーのシェアを大幅に高めることもできず、ファウンドリーもやはり数年でＴＳＭＣに追いつく可能性は非常に低い」と明らかにした。

◇内部では「達成可能」、専門家「大型買収合併なければ」

結局サムスン電子がこうした目標を達成するには大型の買収合併がなければならないというのが専門家らの分析だ。純ファウンドリー企業を買収したり、インフィニオン、ＮＸＰ、ルネサスのような車載用半導体メーカーを買収する方法だ。世界１０位圏のファブレスと買収合併を推進することも考慮できる。

サムスンの動きも速まっている。サムスン電子は最近バンク・オブ・アメリカ出身の半導体買収合併専門家であるマルコ・チサリ氏をＤＳ部門半導体革新センター（ＳＳＩＣ）のセンター長として迎え入れた。また、社内で買収合併通とされるアン・ジュンヒョン副社長を社長に昇進させサムスングローバルリサーチ未来産業研究本部長を任せた。歩留まり問題など議論になったファウンドリー事業部に対する経営診断を終え改善策もまとめている。

これと関連して、サムスン電子の韓宗熙（ハン・ジョンヒ）副会長は１月に記者らと会い「さまざまな事業分野で買収合併を検討中。近く良い知らせがありそうだ」と明らかにしている。韓国半導体ディスプレー技術学会会長を務め漢陽（ハンヤン）大学のパク・ジェグン教授は「サムスンを中心に韓国半導体の超格差を守るために新政権は工場の新増設規制緩和、専門人材拡充案など画期的な支援案を提示すべき」と指摘した。