北朝鮮工作員と推定される人物から指令を受け、現役将校と連係して軍の機密を流出させた疑いで、暗号通貨取引所の代表が逮捕、起訴された。

警察庁、ソウル中央地検、軍事安保支援司令部によると、暗号通貨取引所を運営するイ代表（３８）はこの日、国家保安法違反容疑で起訴された。事件に関与した現役将校は軍事法廷に送致された。この犯行で「韓国軍合同指揮統制体系」ログイン資料などが流出したことが把握された。

検察・警察と軍によると、イ代表は昨年７月、北朝鮮の工作員と推定されるＡから「軍事機密の探知に必要な現役将校を抱き込むべき」という指令を受けた。イ代表は同年８月、現役将校に「軍事機密を提供すれば暗号通貨などの対価を支払う」という趣旨でテレグラムのメッセージを発送した。しかし該当将校が拒否し、失敗した。イ代表は６年前、暗号通貨コミュニティーでＡと初めて知り合い、昨年２－４月に２回にわたりビットコインなど約６０万ドル（約７億ウォン）の暗号通貨を受けて抱き込まれた。

イ代表は今年１月、Ａの指令で今度は時計型隠しカメラを購入し、現役将校Ｂ大尉に宅配で発送した。イ代表が現役将校を抱き込むことに失敗した後、Ａが同じ暗号通貨コミュニティーで出会ったＢ大尉の連絡先をイ代表に渡したと、警察と軍は把握している。

韓国国防部によると、Ｂ大尉は搬入した装備で韓国軍合同指揮統制体系（ＫＪＣＣＳ）ハッキングを助けるためのログイン資料などを撮影して伝送したことが把握された。イ代表は一方ではＡの指令を受けて３月まで軍事機密の探知に使用されるＵＳＢ形態のハッキング装備（ポイズンタップ）部品を購入した。この部品を連結すればＡが遠隔でノートブックを操作できる。Ｂ大尉も４８００万ウォン（約４９４万円）相当のビットコインを受けたことが明らかになった。警察関係者は「金額が大きいため容易に抱き込まれたのではないかと思う」と話した。

警察は「イ代表とＢ大尉が（Ａから）テレグラムで指示を受けたが、対話の内容に北朝鮮の言葉があり、北朝鮮の人だと思ったという陳述がある」とし「Ａからは各自指示を受け、イ代表とＢ大尉のテレグラムの対話は残っていない」と説明した。警察関係者は「いわゆる『単線連係』だ。工作員は２人を知るが、抱き込まれた民間人とＢ大尉はお互いを知らない。一人が逮捕されれば容疑を口にするからではないか」と話した。軍は「今回の事件は北のハッカーに抱き込まれた最初の現役軍人スパイ容疑事件」と説明した。