核使用で威嚇する北朝鮮、核戦争ほのめかすロシア…核に包囲された「非核国家」大韓民国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.04.27 17:55
一方では恣意的判断によりいくらでも核攻撃ができると威嚇し、別の一方では公然と核戦争をうんぬんする。核に囲まれた「非核国韓国」が置かれた現実だ。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は25日、朝鮮人民革命軍(抗日遊撃隊)創建90周年記念閲兵式での演説で、「われわれの核が戦争防止という一つの使命にだけ束縛されているわけにはいかない。いかなる勢力であれ、わが国家の根本的利益を侵奪しようとするならば、われわれの核戦力は意外なその第二の使命を断固果たさざるを得ない」と話した。核使用のハードルを大幅に下げたのだ。
ロシアのラブロフ外相は25日、「現在核戦争の危険は実在しており非常に深刻な水準」と話した。ロシアはウクライナ侵攻後に公然と核使用の可能性に言及してきた。最近では核弾頭を搭載し世界のどこでも打撃できる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試射した。
◇核先制使用条件の曖昧化
すべて韓国の目の前で起きていることだ。だが北朝鮮の核脅威縮小に汲々とした文在寅(ムン・ジェイン)政権5年間の空白と、依然として国内的利害関係にだけ没頭する後進的政治スタイルなどは韓国がこうした脅威にまともに対応できるのか懸念を育てる。
専門家らは特に金正恩が核先制使用の条件に盛り込まれた「根本的利益侵奪」を明確に規定していないことに注目した。韓米のどんな行動でも言葉尻をとらえる余地を残したためだ。
梨花(イファ)女子大学北朝鮮学科のパク・ウォンゴン教授は「根本的利益侵奪はいくらでも拡張可能な曖昧な概念。北朝鮮は事実上自分たちの恣意的判断により軍事的状況でなくても核を先制使用できると明らかにしたもの」と分析した。
峨山政策研究院のチャ・ドゥヒョン首席研究委員は「これは核攻撃を受ける場合、自衛的手段として核兵器を使うことができるとする伝統的な立場を抜け出すものであり、現在ウクライナでロシアが米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して取っている立場と非常に似ている。ロシアがすでに良くない先例を作った点を北朝鮮が十分に活用している」と指摘した。
◇非核化の意志の実状明らかに
文在寅政権が対北朝鮮政策の根拠としてきた金正恩の「非核化の意志」も事実上実体が明らかになったと指摘される。2018年3月に当時の鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台(チョンワデ、大統領府)国家安保室長は特使団長として北朝鮮を訪問し金正恩と会って帰国し、「北朝鮮側は韓半島(朝鮮半島)非核化の意志を明確にした。核兵器だけでなく在来式兵器を韓国側に向かって使わないことを確約した」と明らかにした。
韓国政府はこれを根拠に南北と米国との連鎖首脳会談を牽引しやり遂げた。対話を後押しするため韓米合同演習の縮小と猶予など自ら「ガード」も下げた。
だが結局、金正恩はこうした文在寅政権の信頼を核使用態勢の攻勢的転換に必要な時間を稼ぐのに利用した格好だ。
金正恩執権初期に北朝鮮は「敵対勢力がわれわれの自主権を侵害しない限り先に核兵器を使わないだろう」(2016年1月、4回目の核実験後の声明)と明らかにした。2020年10月の党創建75周年閲兵式まででも金正恩は「戦争抑止力が決して乱用されたり絶対に先制的に使われることはない」と直接話した。
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