【コラム】宇宙を放置するのか、宇宙政策ひとつない韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.03.14 11:36
「韓国に宇宙政策というものがありますか」。数年前に米国務省を訪問した際に宇宙関連の韓国担当公務員が投げかけた質問だ。韓国には国家宇宙研究開発計画はあるが、国家宇宙政策はないようだということだ。数十年間にわたり宇宙政策業務を担当してきたが、相手にする韓国側の担当公務員が1~2年もたたずに交代するため「宇宙についてまったくわからない人と接触し続けなければならない」という愚痴でもあった。おそらく筆者が公務員ではなかったので、無礼で侮辱的かもしれない質問を投げたのだろうが、とにかく当時非常に衝撃的で当惑した記憶が長く残った。
筆者はその時米ジョージ・ワシントン大学エリオット国際関係大学院宇宙政策研究所に訪問学者の身分で滞在中だった。衝撃的な質問を受けたその公務員と会って数カ月後、偶然に1冊の本に接してもう一度衝撃を受けることになった。米国の国家宇宙政策を集大成したジョージ・ワシントン大学ジョン・ログスドン教授の『NASA誕生と宇宙探査の秘密』だった。「あぁ、これが宇宙政策なのか」。これまで多くの資料と報告書を見たが、この本に盛り込まれた政府公式文書を通じ生きた宇宙政策を見ることになったのはその時が初めてだった。
宇宙開発初期、米国はソ連と人工衛星開発競争を行っていた。1957年のスプートニク打ち上げ後、米国社会にはソ連に先手を奪われたという批判と、ソ連が米国上空から軍事攻撃をするかもしれないという世論が沸き立った。だが米国政府の反応は慎重だった。当時航空機が飛行する空域は地上局の承認がなければならなかったが、未知の空間である宇宙に対しては決められた国際法がなかった。